1998 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリン投射系が上丘を介して衝動性眼球運動の潜時に及ぼす修飾の可能性の検討
Project/Area Number |
10780514
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
相澤 寛 弘前大学, 医学部, 助教授 (40222434)
|
Keywords | 衝動性眼球運動 / エクスプレスサッカード / 反応時間 / 上丘 / 脚橋被蓋核 / アセチルコリン / ニコチン / 微量注入 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ニコチン性レセプターを介する脚橋被蓋核由来のアセチルコリン作動性入力が、上丘の浅層から深層にいたる局所回路の促通・短絡をもたらして衝動性眼球運動反応時間の極端な短縮を引き起こす、すなわちエクスプレスサッカード生成機構の重要因子となっている、という仮説を検討することである。平成10年度には2つの面から実験を行い、それぞれ以下に挙げる成果を得た。 1) 上丘にニコチン性レセプターの拮抗物質を微量注入してアセチルコリン作動性入力を遮断し、エクスプレスサッカード発生頻度が減少するかどうか検討した。メカメラミン、メチルカコニチンを眼球運動課題遂行中のニホンザル2頭の上丘に注入し、エクスプレスサッカード発生頻度減少の見られる場合、見られない場合をそれぞれ観察した。並行してニコチン、生理食塩水の注入実験を継続してニコチン注入量と観察される効果の間の定量的関係を明らかにして発表した。 2) 上丘へのアセチルコリン作動性入力の起始細胞が存在する脚橋被蓋核にムシモル、リドカインを注入しその活動を可逆性に傷害し、エクスプレスサッカードの発生頻度減少が見られるか検討した。脚橋被蓋核の眼球運動遂行への関与、ニューロン細胞の分布、位置に関する報告はまだ行われていないので、その活動様式を世界で初めて単一神経細胞記録法によって解析するとともに分布を調べて発表した。 継続となる平成11年度には、1)上丘でのニコチン性レセプター拮抗物質微量注入実験において動物の行動をより精密に制御するとともに、注入物質の量・濃度を変化させてより明確な結果を得ること、2)脚橋被蓋核の可逆的傷害実験では本年度得られた分布様式のデータに基づいて注入を試みることを予定している。
|
-
[Publications] Aizawa,H.: "Modification of saccadic reaction time by microinjection of acetylcholine-related substances into monkey superior colliculus" The Society for Neural Control of Movement Abstract. 8. (1998)
-
[Publications] Kobayashi,H.: "Relationship of pedunculopontine tegmental nucleus neuron activity to saccade initiation in monkeys" Society for Neuroscience Abstracts. 24. 146 (1998)
-
[Publications] Aizawa,H.: "Modification of staircase saccades by electrical stimulation in monkey FN area" The Japanese Journal of Physiology. 48 Suppl. S115 (1998)
-
[Publications] Aizawa,H.: "Reversible Inactivation of Monkey Superior Colliculus.I.Curvature of Saccadic Trajectory." Journal of Neurophysiology. 79(4). 2082-2096 (1998)
-
[Publications] Aizawa,H.: "Reversible Inactivation of Monkey Superior Colliculus.II.Maps of Saccadic Deficits" Journal of Neurophysiology. 79(4). 2097-2110 (1998)