1998 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおけるマラリア原虫感染に関する宿主抵抗性遺伝子の染色体マッピング
Project/Area Number |
10780515
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大野 民生 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90293620)
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Keywords | マウス / ネズミマラリア原虫 / 宿主抵抗性遺伝子 / 染色体マッピング |
Research Abstract |
感染実験に使用される致死性のネズミマラリア原虫にはPlasmodium berghei,P.yoelii,P.chabaudiの3種がよく知られている。そこで、これらの種のどの株がマウス系統間で大きな感受性の違いを有しているかを調査した。マウスでは既にA/J系統が感染感受性でB6およびB10系統が抵抗性であることがよく知られているため、A/JとB10系統に3種のネズミマラリア原虫のうちそれぞれの代表的な株であるP.berghei ANKA,P.yoelii 17XL,P.chabaudi ASを感染させ、マラリア原虫の血中での増殖性や感染後の生存日数の差が大きい株を調査した。その結果P.berghei ANKAとP.chabaudi ASは感染が成立したすべての個体が死亡したのに対し、P.yoelii 17XLではマラリア原虫の感染数を5×10^5個とすると、B10系統は感染しても死亡しないが、A/J系統は死亡するという顕著な感受性の差が認められた。したがって本研究にはP.yoelii 17XLを用いるのが有効であると考えられた。次に、P.yoelii 17XLを様々なマウス系絖に感染させて、既知のA/J系統よりも感受性もしくはB10系統よりも抵抗性を示す系統を調査した。その結果、129とCAST系統がB10系統と同程度の抵抗性を示すことと、NCとNOD系統がA/J系統よりも感受性を示すことが判明した。現在、P.yoelii 17XLを5×10^5個感染させた場合の生存日数と感染後5日の血虫率(感染赤血球数/全赤血球数)を指標とした宿主抵抗性遺伝子の染色体マッピングを行うため、NC系統と129およびCAST系統との交配群(F1,F2,BC)を作成し、P.yoelii 17XL感染時の表現型を解析中である。既にA/JとB6系統の交配群を用いて、P.chabaudi感染に対する宿主抵抗性遺伝子がマウスの第8および第9染色体上に存在することが報告されているが、本研究によりこれらとは異なる宿主抵抗性遺伝子の染色体マッピングが可能であると考えられる。
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