1999 Fiscal Year Annual Research Report
テネイシン欠損マウスにおける異常行動原因遺伝子の高精度連鎖地図の作製
Project/Area Number |
10780519
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉木 淳 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任研究員 (40212310)
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Keywords | テネイシン / 行動 / 水泳試験 / 連鎖解析 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
TNKOは相同組換えにより作製されたテネイシン欠損マウスより育成された系統で、不自然な首振り運動や多動を特徴とする。TNKOはさらに、プールに導入すると頚部を反らせて溺水する。本研究は、テネイシン欠損マウス系統、TNKOマウスに見られる溺水行動形質に関連する遺伝子(テネイシン関連溺水遺伝子)の染色体上の位置を高精度連鎖地図を作製する事により決定し、その近傍にマップされている既知遺伝子との異同を推定して候補遺伝子の有無を調べる事を目的として行った。 TNKOにおける溺水行動が、特定の遺伝子によって引き起こされているかどうかを調べるために、TNKOと野性マウス由来の近交系MSMとの交配よりF2世代のマウスを作製して水泳試験を施し、溺水個体を検索した。水泳試験は180秒間として、水泳軌跡を移動軌跡解析装置MZ-30により分析し、方向変換数を求めた。さらに、水泳中の姿勢異常の有無を点数化して各個体の水泳異常スコアとした。この水泳異常スコアの高いF2個体と低いF2個体を用いて、ゲノムDNAを抽出し、MITマーカーによる各染色体領域の系統由来を調べた。連鎖解析をMapManager QT ver3.0b20(K.F.Manly)にて行った結果、第4染色体中央部のTnc(tenascin-C)遺伝子座でLOD score=16.4が得られた。さらに、第10染色体遠位部のD10Mit291(LOD score=35.4)とD10Mit150(LOD score=40.7)との約6.5cMの間隔に最も影響力の強い遺伝子座が存在することが判明した。10番染色体の遺伝子座の関与は戻し交配世代においても確認した。この結果から、TNKOにおける溺水行動にはtenascin-Cの欠損とD10Mit150近傍の遺伝子が強く関係している事が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshiki A.et al.: "Search for the drowning genes in the tenascin deficient TNKO mouse strain"Neuroscience Research. suppl.22. S260 (1998)
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[Publications] Yoshiki A.et al.: "Genetic analysis of behavioral trait : swimming abnormality in the tenascin deficient mouse strain"Neuroscience Research. suppl.23. S286 (1999)