1998 Fiscal Year Annual Research Report
アレルゲンの経胎盤感作および食物アレルギーモデル作出に関する研究
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10780521
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
今岡 浩一 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 主任研究官 (90211755)
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Keywords | 食物アレルギー / 妊娠 / 経胎盤感作 / 卵白アルブミン(OVA) / IgE / コレラトキシン(CT) / 移行抗体 / ラット |
Research Abstract |
食物アレルギー発症に関与するアレルゲン特異的IgE産生は、アレルゲンの感作なしには起こり得ないが、一度も食したことのない食物に対するIgEを保有する新生児が存在する。これは、胎生期に感作を受けていることを示唆している。本年度は、前回(文部省科学技術研究費補助金06780708)の追試およびデータの追加として、ヒトと胎盤構造の似たラットで、経胎盤感作によるアレルゲン特異的IgEの誘導を試みた。 1) 妊娠中〜後期のBrown Norswayラット(母)に、CT-Bの経口投与/非投与下で、OVAを尾静脈より免疫した。併用群で仔ラットにOVA特異的IgEが認められた。授乳期間に、母にOVAを経口投与すると、仔に抗体価の上昇が見られ、離乳後、仔にOVAを経口投与することで、さらに抗体価が上昇した。 2) 特異的IgGは、両群とも生後から認められたが、OVA単独投与群では、離乳後、仔にOVAを経口投与しても抗体価が低下するのに対し、併用群では抗体価は維持された。3) OVAをAlum adiuvantと腹腔内に追加免疫した。単独投与群では、特異的IgGが減少したが、併用群では、特異的IgE,IgG(IgG1)が上昇し二次免疫応答を示した。4) 併用群で、生後より、OVA特異的細胞増殖反応が認められた。5)OVA特異的サイト力インmRNAの発現を検討した。併用群では、特に、IL-4、L-10(Th2-typeサイト力イン)の産生が亢進していた。 以上より、単独投与群の特異的IgGは移行抗体であると考えられた。一方、併用群では、IgGには移行抗体も含まれているが、IgE,IgG(一部)は、仔自身が産土していることが示された。妊娠中〜後期の抗原(アレルゲン等)の大量摂取に、免疫機能修飾因子が加わると、その産児は、胎児期に抗原特異的IgE産生能を獲得することが示された。現在、メカニズム、経口免疫寛容との関連、アレルギー症状の発症に関して、ラット及びマウスを用いて解析中である。
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