1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝実質細胞と非実質細胞の混合培養による肝機能の生体外再構築
Project/Area Number |
10780527
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三好 浩稔 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70292547)
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Keywords | 肝細胞 / 胎仔肝細胞 / 血管内皮細胞 / 混合培養 / 3次元培養 / 多孔質樹脂 / oncostatin M |
Research Abstract |
肝細胞を3次元的に培養することを目的として、多孔質のpolyvinyl fomal(PVF)樹脂を担体とする約20日間の静置培養を行った。このとき、肝細胞のみの培養と並行して、肝細胞と肝由来非実質細胞、あるいは血管内皮細胞との混合培養も行った。 その結果、通常の肝細胞培養法である単層培養では肝細胞のアルブミン分泌能は急激に低下したものの、PVF樹脂を担体とする静置培養ではアルブミン分泌能は安定に維持され、培養期間を通してほぼ一定の値を示した。また、混合培養においては、血管内皮細胞との混合培養で効果が認められ、このとき肝細胞のアルブミン分泌能は徐々に増加し、培養終了時にもこの傾向が見られた。 次に、増殖性をもつ肝細胞を3次元培養することを目的として、PVF樹脂を担体とする胎仔肝臓細胞の培養を行った。培地には、血球系細胞に用いられるαMEM(mimimum essential medium alpha)と、肝細胞培養に広く用いられているWE(Williams'E)を使用した。 その結果、WEの場合には細胞数は徐々に減少し、それに伴って肝細胞のアルブミン分泌能も低下したが、PVFを用いる静置培養の方が単層培養よりもこれらの維持は良好であった。αMEMを用いた場合には、細胞は増殖したもののアルブミン分泌能は低下した。そこで、これらの培地にoncostatin M(OSM)を加えて培養を行ったところ、いずれの培地を用いた場合にもOSMの効果が認められ、静置培養では培養2週間目で細胞数は初日の2〜5倍、アルブミン分泌能は10倍以上に増加した。これらの値は、その後2週間以上維持されていた。 以上の結果から、PVF樹脂を担体とする胎仔肝細胞培養法は、細胞の3次元高密度培養や肝特異的機能の発現に有効であることがわかった。今後、培養条件をさらに改良することによって、生体内での機能に近づけていく予定である。
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[Publications] H Miyoshi,K Ookawa,N Ohshima: "Hepatocyte culture utilizing porous polyvinyl formal resin maintains long-term stable albumin secretion activity." J Biomater Sci Polymer Ed. 9(3). 227-237 (1998)
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[Publications] 三好浩稔、大島宣雄: "組織工学的手法によるバイオ人工肝臓の開発" 人工臓器. 27(5). 724-732 (1998)