1999 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔的救急処置指示場面における言語と身体の組織化に関する会話分析的研究
Project/Area Number |
10831002
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山崎 敬一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80191261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 のぞみ 東洋大学, 社会学部, 講師 (10297723)
行岡 哲男 杏林大学, 医学部, 助教授 (00182668)
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Keywords | エスノメソドロジー / 会話分析 / CSCW / 遠隔医療 / 遠隔的協同作業 |
Research Abstract |
この研究では、遠隔的な指示において、言語と身体がいかにして組織化されているかという問題を、特に遠隔医療を対象にして明らかにしようとした。またそうした言語と身体の組織化のエスノメソドロジー的な分析にもとづいて、遠隔医療や遠隔的な協同作業に利用可能な、あらたな遠隔的な指示のシステムを、社会学者と情報工学者と医学者の協力によってデザインしようとした。特に、この研究では、指さしによる指示が成立するための次のような要件を明らかにした。すなわち、(1)身体配置の要件:身体や道具の配置は指示者と作業者両方に対して彼らの行為をモニタできるように適切に配置されるべきである。(2)ジェスチャ表現の要件:指示者は言葉による表現のみならず、身体移動や身体表現(ジェスチャ)も自由に使えることができなければならない。(3)複数作業者の要件:以上のことが数人の作業者がいるときにも機能しなければならない。そしてそのような要件をみたすシステムとして、頭部掲載型ディスプレーとレーザーポインターを用いたシステムを設計した。そしてさらに、そうしたシステムを用いた場合の、言語と身体の組織化を分析し、さらにあらたな遠隔的な指示システムをデザインするためには、次のような問題を考慮する必要があるかを明らかにした。(1)システムは、作業者が基本的な身体配置を構成することを、助けることのできるものである必要がある。(2)ジェスチャは単独での表現力のみを追求するのではなく、インタラクションの中でいかに連続的に利用されるかということに着目するべきである。(3)複数の作業者に指示が与えられるときには、指示を与える場所を自由に変えられる必要がある。また、その作業をする作業者に指示が与えられるだけでなく、ほかの作業者にもその指示がどのように与えられたのか、さらにその指示をその作業者がどう理解したのかが伝わる必要がある。
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[Publications] 太田祥一,行岡哲男,山崎敬一,山崎晶子,葛岡英明,松田博青,島崎修次: "Head Mount Display(HMD)によるShared-View Systemを用いた遠隔的指示・支援システムの検討"日本救急医学会雑誌. 11巻1号. 1-7 (2000)
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[Publications] Keiichi Yamazaki, Akiko Yamazaki, Hideaki Kuzuoka et al.: "GestureLaser and Gesturelaser Car"Proceedings of ECSCW'99. (1999)
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[Publications] 池谷のぞみ,岡田光弘,藤森義光: "ヴィジュアル・オリエンテーションの実践的マネージメント"日本認知学会教育環境デザイン研究分科会研究報告. Vol.6.. 32-37 (2000)
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[Publications] 小山慎哉,葛岡英明,山崎敬一,山崎晶子,加藤浩,鈴木栄幸,三樹弘之: "実空間上の遠隔作業指示を支援するシステムの開発"情報処理学会論文誌. 40巻11号. 3812-3822 (1999)