1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10832005
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宇津山 正典 東京医科歯科大学, 医学系研究科, 助手 (70167287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 勝翌 東京医科歯科大学, 医学系研究科, 教授 (00014093)
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Keywords | 胸腺 / 視床下部前方部位破壊 / 加齢 / 成長ホルモン |
Research Abstract |
ウイスターラットに高周波熱破壊により視床下部前方部位を破壊するとラットの年齢に関わらず胸腺肥大が生じる。これら胸腺肥大を生じたラット血清中の各種ホルモンを測定したところ成長ホルモンが各年齢の処置群において対照群に比較し有意に高値を示した。そこで通常の加齢に伴う血清中成長ホルモン量の動態を検討した結果、ラット、マウスともに新生仔の時期に非常に高い値を示し、その後1か月齢以降老齢期に至るまで成長ホルモン量は低値を示した。これらの事から、胸腺機能が成長ホルモンの血清中の濃度と関連していることが確認された。成長ホルモンの下垂体からの分泌の制御は視床下部によりコントロールされており、成長ホルモンを上昇させる促進中枢として成長ホルモン放出ホルモン、逆に抑える抑糾中枢として成長ホルモン放出抑制ホルモンがある。新生仔の時期には促進中枢の機能が高く成長ホルモンが大量に分泌されるが、新生仔の時期を過ぎると抑制中枢が優位になり成長ホルモンの分泌が低くなる。視床下部前方部位を破壊することにより抑制中枢が壊され促進中枢が優位になる事から処置群では対照群に比較して成長ホルモンの分泌が10倍前後に急上昇し、結果として胸腺が2倍前後に肥大したと考えられた。新生仔胸腺を腎臓皮膜下に移植し、ドナー胸腺が形成された1カ月後、視床下部前方部位破壊処置をレシピエントに施すとレシピエント自身の胸腺は肥大するがドナー胸腺のサイズには対照群と差異がみられなかった。 加齢に伴う胸腺萎縮が視床下部によりコントロールされている事が確認できた。新生仔胸腺移植の実験系により液性成分として単に成長ホルモン量のみが単純に胸腺肥大に関与しているのではない事から内分泌系-神経系の関連も示唆された。
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