1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10832009
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Research Institution | Institute of Applied Biochemistry |
Principal Investigator |
田中 雅嗣 財団法人 応用生化学研究所, 研究部, 研究部長 (60155166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 國男 財団法人 応用生化学研究所, 所長 (00022749)
米田 誠 福井医科大学, 第二内科, 助手 (70270551)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 長寿 / 遺伝子多型 / 変異発生 / 糖尿病 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)は多数のコピーが細胞内に存在し、その発現量が大きい。mtDNAの塩基配列の多様性は高く、そのsingle nucleotide polymorphisms (SNPs)が個体間の寿命や疾患感受性に影響を与えていると考えられる。そこで、百寿者11名のmtDNAの全塩基配列を決定し、対照群43例の全塩基配列と比較し、百寿者において頻度の高いSNPsを見いだした。百寿者群・正常対照群・無作為に抽出された患者群における頻度の比較によって、ミトコンドリア遺伝子型Mt5178Aが長寿に関連しており、Mt5178C型が成人発症性疾患に関連していることが明らかになった。ミトコンドリア病患者145例と対照群633名の遺伝子型を分析した結果、患者群においてはMt5178A:C=42:103であり、対照群における頻度A:C=277:356と比較して、有意にC型の頻度が高かった(p=0.006,オッズ比=1.91)。8993T→G変異を有する患者18例のうち全例がC型であり(A:C=0:18)、8993T→G変異以外を伴った患者あるいは対照群と比較して、C型の頻度が高かった。T→G塩基転位はDNAあるいはその前駆体に対するOHラジカルの攻撃によって誘発される。疾患原因となるmtDNA変異の生殖細胞系における発生がC型において頻度が高かったことは、C型においてmtDNA自身に対する酸化的損傷が高いことを示唆する。おそらく体細胞においてもmtDNA変異蓄積の速度に相違があると推測される。約6000例の解析から、心筋梗塞・脳梗塞などの患者においてC型の頻度が高いこと、A型が糖尿病患者における動脈硬化の進行を抑制することが明らかになった。このようにmtDNA多型が成人発症性疾患の発症と進展に影響を与える重要な因子であることが明確になった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Borgeld H.-J.W.,Naruse K.,Nishikawa S.-i.,Zh ang J.,Kikuchi A.,Furukawa K.,Yagi K.and Tanaka M.: "Appropriately spaced nuclear localizing signals are necessary for efficient nuclear import of non-nuclear proteins"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 256. 278-283 (1999)
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[Publications] Kita K.,Tsuda J.,Kato T.,Okamoto K.,Yanase H.and Tanaka M.: "Evidence of horizontal transfer of the EcoO109I restriction-modification gene to Escherichia coli chromosomal DNA"J.Bacteriol.. 181. 6822-6827 (1999)
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[Publications] 田中雅嗣: "長寿に関連するミトコンドリア遺伝子型と成人発症性疾患への影響"最新医学. 54. 1122-1128 (1999)
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[Publications] 田中雅嗣: "ミトコンドリアと老化"脳と神経. 51. 589-599 (1999)
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[Publications] 田中雅嗣: "ミトコンドリアと活性酸素"Clinical Neuroscience. 17. 348-349 (1999)
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[Publications] 田中雅嗣: "ミトコンドリアと老化"BIO Clinica. 15. 214-219 (1999)