1998 Fiscal Year Annual Research Report
老化の過程における神経認識分子NrCAMとコンタクチンの役割の解析
Project/Area Number |
10832010
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
細矢 博子 東京都老人総合研究所, 細胞認識, 研究助手 (00158841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 和忠 東京都老人総合研究所, 細胞認識, 室長 (70114717)
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Keywords | Nr-CAM / コンタクチン / 糖鎖 / 脳の発達 / 接着分子 |
Research Abstract |
細胞間相互の認識は神経回路網形成においても必要不可欠であり、各種の細胞接着分子によって担われている。コンタクチンは、膜貫通領域をもつ神経接着分子Nr-CAMと同一の細胞表面上で結合していることが報告されている。そこで、本研究では、脳内でのこれら2分子の局在を検討するとともに、ウエスタン・プロット法で発達段階での発現変化について検討した。その結果、免疫組織染色法ではコンタクチン、Nr-CAMともに脳全体に認められたが、その発現量は部位によって異なっていた。コンタクチンは下丘での発現が比較的強いが、Nr-CAMはあまり発現していなかった。in situハイブリダイゼーション法により海馬におけるNr-CAM及びコンタクチンのmRNAの発現を検討した結果、コンタクチンは生後7日で強い発現が認められたが、Nr-CAMは殆ど発現していなかった。また、共に、生後7日以降14日までは、CA3,CA1の錐体細胞で強い発現を示し、歯状回では外側の顆粒細胞層のみに認められた。それ以後は、発達過程の進行と共に外側から内側へ増加し、顆粒細胞層の全域での発現が認められた。また、Nr-CAMはウエスタン・プロット法では発達の過程において130k-Daと140k-Daの非常に近接した2本のバンドが確認された。胎児期から出生後17日くらいまでは130k-Daのバンドだけが検出されるが、出生後22日以降、成体になるまで130k-Daと140k-Daの2本のバンドが認められた。この2本のバンドはN-Glycanase処理により移動度が早くなり、1本のバンドになった。このため、脳の発達の段階でNr-CAMの糖鎖が変化していると考えられた。今後、Nr-CAMとコンタクチンを含む他の細胞外基質との相互作用に及ぼす影響を明らかにして行く必要がある。
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