1998 Fiscal Year Annual Research Report
老化脳におけるアスパラギン酸修飾蛋白質の検索と同定
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10832011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
清水 孝彦 東京都老人総合研究所, 分子遺伝学部門, 研究員 (40301791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 卓二 東京都老人総合研究所, 分子遺伝学部門, 室長 (80226323)
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Keywords | イソアスパラギン酸 / イソアスパラギン酸メチル転移酵素 / アルツハイマー病 / βアミロイド蛋白質 / ノックアウトマウス / アデノウイルス / 遺伝子治療 / 脳 |
Research Abstract |
#1 アルツハイマー病βアミロイド蛋白質のアスパラギン酸修飾と凝集活性 アルツハイマー病(AD)脳に特徴的な病理学的変化である老人斑の主成分βアミロイド蛋白質は3個(1、7および23番目)のアスパラギン酸残基を有する。RoherらはAD患者脳からβアミロイド蛋白質を単離、構造解析した結果、1番目と7番目のアスパラギン酸がイソアスパラギン酸に変換(異性化)していることを見いだした。特に7番目のアスパラギン酸の異性化の割合は75%と高く、βアミロイド蛋白質の不溶化と異性化の関係が強く示唆された。我々はβアミロイド蛋白質の不溶化と異性化の関係を調べるために異性化βアミロイド蛋白質を化学合成し、異性化βアミロイド蛋白質の性状を調べた。その結果7番目の異性化はβアミロイド蛋白質の不溶化に影響を与えないことが判明した。一方23番目のアスパラギン酸が異性化したβアミロイド蛋白質は高い凝集能を有していた。これらの結果から23番目アスパラギン酸の異性化がβアミロイド蛋白質に強い不溶化特性を寄与することが判明した。現在、23番目が異性化したβアミロイド蛋白質を特異的に認識する抗体の作製を行っている。 #2 アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の試み イソアスパラギン酸メチル転移酵素(PIMT)をコードする遺伝子をアデノウイルスに組み込み、治療用リコンビナントウイルスベクターを作製した。PIMT欠損マウス胚の脳から培養した神経細胞にPIMT-アデノウイルスを感染させ、イソアスパラギン酸の蓄積量を指標に遺伝子治療の効果判定を行った。その結果、培養7日後のイソアスパラギン酸の蓄積量が50%程度に減少した。、本リコンビナントウイルスベクターを用いて、PIMT欠損マウスの臨床症状(けいれん、知能低下)を遺伝子治療によって改善させる可能性を示した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Fukuda,H.et al.: "Synthesis, Aggregation, and Neurotoxicity of the Alzheimer′s Abetal-42 Amyloid Peptide and Its Isoaspartyl Isomers." Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. (in press). (1999)