1999 Fiscal Year Annual Research Report
安心できる生活空間の開発を目的とした快適度の定量評価に関する研究-視覚・聴覚・皮膚感覚刺激時の生理量・動画像解析と面接結果の検討-
Project/Area Number |
10835012
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Research Institution | YAMAGUCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
酒井 義郎 山口大学, 工学部, 教授 (60107729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一川 誠 山口大学, 工学部, 講師 (10294654)
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Keywords | 生活 / 快適性評価 / 福祉的視点 / 経験による使い勝手評価 / 低コスト化 / 視覚刺激 / 聴覚刺激 / 心的イメージ |
Research Abstract |
福祉機器利用者の利用上の快適性の評価という観点から、これまでに実施した高齢者への調査、視覚的・聴覚的刺激に対する被験者実験結果について整理し、検討を加えた。この観点に関連して現在東京を始め、障害を持つ人たちや年輩の人たちの視点が従来の老人施設・養護施設といった施設型から自立のための模索が始まっている。この中の重要な視点は、従来の大型で施設向きの機器依存から、使い勝手が良く安価でむしろ道具感覚で使えるものが望まれつつあるという点である。こうした点は従来工学的視点で捉えられず日常生活の中の工夫という程度に捉えられていた。これを繰り返し体験することによる"慣れ"(すなわちある種の熟練)とそれに基づく発見的知識という視点から工学的に整理し、設計手法として体系化することは非常に有効であると考える。"バリアフリー"社会が高コスト化するのを防ぐ視点の導入として、介護保険の問題も含め必要であり、新しい工学の展開につながるものと考える。この視点はまた省エネルギー、環境への配慮という点で現在の高齢者に備わっていて若者に欠けている重要な視点であるといえる。快適性という視点に関して、一瞬一瞬の瞬間的評価でなく、生活全体を時間的に追う中で、その時間的推移の中の一つ一つの評価の総合的な評価として快適性という感覚が生じるものと考えられる。瞬間的評価は直接の外的刺激を直感的(個々人の感性として)に受け止める部分であり、総合的評価はそれらを通じて得られる心的イメージが大きく絡んでいると考えられる。例えば物理的には自宅内など生活空間の中で、移動による温度変化とそれらの推移による総合的評価が、また個々の視覚的あるいは聴覚的刺激についていえば過去の経験に基づく自然なイメージ的反応とが総合的な感覚的評価を形成している。これは共有される体験による基本的なイメージと個別の体験によるイメージとが統合されたものである。
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