1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10835017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 信寿 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70101996)
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Keywords | 椅子 / 座り心地 / 姿勢計測 / 身体柔軟性 / 脊柱形状 / 人間工学 / 感性工学 |
Research Abstract |
昨年度開発した計測機器とデーター処理手法を改良し、多人数計測によって座り心地に大きな影響を与える着座姿勢と身体特性との関係を明らかにした。 1.背面形状計測装置の改良:重心計測を行って接触による姿勢変化を調べ、押し込みを2段階に分けることで押し込み力による身体前傾量を小さくできることを確認した。また、接触子に軽量な横棒を取り付けて背面の最凸点形状を計測した結果、凹凸の程度は異なるものの、正中形状でも同様の姿勢特徴が得られることを確認した。 2.腰椎柔軟性の計測方法の簡便化:膝伸展状態(屈局30°)で体幹を垂直に起こしたときに、抵抗モーメントの個体差が最も大きくなるために、この時の抵抗モーメントの値で柔軟性を定義した。 3.多人数計測と被験者分類:延べ約60名の身体特徴量と自然着座姿勢を計測し、着座姿勢の好みは全体的な体幹屈曲柔軟性に対する股関節の柔軟性で分類できることが分かった。 4.椅子の座り心地と身体特徴量との関係:着座姿勢は接触面の圧迫感や腹圧などの生体内負荷に大きく影響する座り心地の基本要因となっている。この着座姿勢は、腰椎に対する股関節の屈曲柔軟性と胸郭背面の後湾比(突出量/胸郭長さ)から座骨位置が定まり、座骨位置から骨盤角度が、また、座骨位置と胸郭背面後湾比から胸郭角度が、さらに胸郭と骨盤の相対角度から腰椎湾曲が決まることで決定される。それぞれの推定式から得た姿勢は、実計測姿勢と計測誤差の範囲内で一致した。 以上より、胸郭背面形状と股関節の柔軟性が椅子の座り心地の個体差要因であることが分かった。
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[Publications] 高山典大: "背面形状と身体屈曲柔軟性に着目した着座姿勢の解析"第20回バイオメカニズム学術講演会講演集. 270-273 (1999)
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[Publications] 小嶋元寧: "着座感評価用ダミーの開発と評価"第20回バイオメカニズム学術講演会講演集. 280-283 (1999)
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[Publications] 山崎信寿: "短時間休息用剛体支持面安楽寝椅子の形状適合化"人間工学. 第36巻1号. 29-37 (2000)