1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10836002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬渡 駿介 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (50096913)
|
Keywords | ウスコケムシ属 / Microporella / 仮面型卵室 / 鳥頭体 / ロンドン自然史博物館 / 微生物マット |
Research Abstract |
伊豆の下田と北海道の木古内へ出張し、ヒラハコケムシ属Microporella合計約6種、110群体を研究材料として採集した。まずはそれらの同定、分類をおこなった。まだ途中であるが、そのうち既知種は、M.echinata,M.elegans,M.trigonel1ataの4種であった。残りの2種は新種と思われる。今後さらに分類を進めるつもりである。一方、日本産種との比較のため、ロンドンの自然史博物館より借り出したMicroporellaの解析を進めた。特に、仮面型卵室をもつ種の標本約60群体を詳細に観察し、鳥頭体顎の形を比較した。結果は広島大学で9月に開催された日本動物学会第69回大会でポスター発表した。これまで、仮面型卵室をもつMicroporellaはM.personata,M.orientalis,M.harmeriの3種にすぎなかったが、今回新種2種を発見した。そのうちの1種は、仮面型卵室が発達してくると、烏頭体がその壁に覆われ、顎は閉鎖不可能となる。同時に調整嚢口も覆われてしまうため、個虫は通常の機能を果たせなくなる。このような個虫では、もし、鳥頭体の役目が群体表面を覆う微生物マットを除去する役目であったとしても、それを放棄することになる。通常の機能を果たすためにこそ微生物マットの除去が不可欠と考えられるので、それを放棄した個虫で鳥頭体の顎の機能が失われることは理にかなっている。来年度はこのことを日本産種で確かめることから研究をスタートさせたい。
|
Research Products
(1 results)