1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10836002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬渡 駿介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50096913)
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Keywords | ウスコケムシ / Microporella / 鳥頭体 / 付着物 / 卵室 |
Research Abstract |
6月に木古内町に近い函館市の磯海岸において、ウスコケムシ属群体の採集を試みた。合計3種30個体が得られ、そのうちの2種はすでに成熟していた。研究室へもって帰り、飼育しながら表面の付着物に対する鳥頭体の表面清掃の役割を観察した。7月には国立科学博物館つくば研究教育センターの研究資料館に保管されている、昭和天皇の採集標本を調査した。その結果、相模湾から、ウスコケムシ属の標本が合計3個見つかった。そのうち2種は既知種と思われ、表面にかなりの付着物が見られ、鳥頭体は表面清掃の役に立っていないように思われた。平成12年1月には伊豆の下田へ出張し、Microporella合計約6種、30群体を研究材料として採集した。 以上の標本研究により、M.Echinata,M.elegans,M.Trigonellataの3既知種と3新種を発見した。現在、3新種の記載論文を準備中である。一方、比較のため、国立科学博物館つくば研究教育センターの研究資料館より借用した昭和天皇の採集標本Microporellaの解析を進めた。仮面型卵室をもつ種の標本約20群体を詳細に観察し、鳥頭体顎の形を比較したところ、昨年日本動物学会第69回大会でポスター発表したことを裏打ちする結果を得た。これまで、仮面型卵室をもつMicroporellaはM.personata,M.orientalis,M.harmeriの3種に昨年発見の新種2種を加えて合計5種であったが、今回、仮面型卵室が発達してくると、調整嚢口も覆われてしまう1新種を発見した。このような個虫では、鳥頭体はその機能を放棄することになる。鳥頭体の顎の機能が失われた個虫で付着物はどう処理されるのか、来年度はこのことを日本産種で確かめることから研究をスタートさせたい。
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Research Products
(1 results)