2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10836006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 みどり 千葉大学, 理学部, 助手 (30110349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝川 毅守 千葉大学, 理学部, 助手 (50213682)
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Keywords | 石化植物化石 / 中新世 / 系統解析 |
Research Abstract |
珪酸鉱物によって保存された植物化石は、その内部組織の詳細が失われることなく残され、同時に植物が生育していた状況をよく反映した、原地性〜準原地性の産状をしばしば示すことから古植物学的には最も重要な研究対象である。北海道下川の中期中新世湖成層中に見いだされた珪化植物化石群は、日本では初めてで、世界でも希少な産出例である。本研究は珪化植物化石の比較形態学的検討を基礎に、化石の記載と系統学的検討を行った。さらに含化石層の層序や地質学的産状とあわせて、中新世の植物化石を現生種と比較することにより進化過程を解明した。 種レベルの同定が、石化植物化石の器官(葉・種子・果序・根茎)を使うことで可能となり、次の分類群の系統解析を行うことができた。何れも下川層群・モサンル層上部にあたる珪化帯(S3層)から得られた材料であり、シダ植物(ゼンマイ属)、針葉樹(トウヒ属・ツガ属・スイショウ属)、双子葉植物(デコドン属・ハンノキ属)である。多くの情報を含んだ化石を入れた系統解析は、時間軸の決定や過去の分布域の検討を可能とする点で、遺伝子情報と併せて考慮することで、信頼性の高い結果を導くことができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsumoto.M.& Nishida.H.: "Phylogeny of Osmundaccae inferred from the fossils, in the Middle Miocene Shimokawa chert of Hokkaido, Japan"Intl.J.Pl.Sci.. (印刷中). (2001)
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[Publications] Setoguchi,H.,O.Asakawa,T.,Pintaud,J-C.,Jaffre,T.and Veillon,.J.: "Phylogenetic relationships within Araucariaceae based on rbeL gene sequences."Amer.J.Bot.. 85. 1507-1516 (1998)
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[Publications] 朝川毅守: "化石が語る植物の系統"プランタ. 69号. 9-14 (2000)
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[Publications] 朝川毅守,瀬戸口浩彰: "化石記録と系統から推定されるNothofagus属(ナンキョクブナ属、Nothofagaceae)の進化史"日本植物分類学会会報. (印刷中). (2001)
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[Publications] 古屋暁子,松本みどり: "下川町埋蔵文化財発掘調査報告2西町1遺跡西町1遺跡II層における花粉分析第4章自然科学分析"北海道下川町教育委員会. 116 (1999)
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[Publications] 朝川毅守(西田誠編): "裸子植物の歩み、2-5針葉樹,ソテツ,イチョウ,グネツム"信山社財団法人進化生物学研究所東京農業大学農業資料室. 117 (1999)