1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10836009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 正晃 金沢大学, 理学部生物学科, 助教授 (60182458)
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Keywords | ヨツアナカシパン / 棘皮動物 / 直接発生型ワニ / HOX遺伝子 / 進化 / Para HOX遺伝子 |
Research Abstract |
Hox遺伝子クラスターは左右相称動物の前後(頭尾)軸に沿った形態形成を調節している遺伝子群である。ゲノム上でのHox遺伝子の順序は、発生におけるそれらの発現ドメインの空間的順序と一致している。棘皮動物は左右相称動物に属しているが、五放射相称という非常に特殊な体制をとっている。わたしは、発生過程、特にウニ原基でのHox遺伝子の発現様式を調べることによって、棘皮動物が放射相称になった進化の道筋がわかるのではないかと考えている。ヨツアナカシパンは直接発生型の日本固有種で、エサをたべずに3日で変態するので、この研究に最適な材料である。 最初にgenome PCR法とRT-PCR法によってヨツアナカシパンのHox遺伝子を増幅し、その配列を決定した。その結果、13種のHox-type配列が得られたので決定した順番にPjl-Pj13と命名した。次に、Pjl-Pjl3から推定されるアミノ酸配列を既知のウニのHox遺伝子の配列と近隣結合法によって比較した結果、Pj9とPj13を除いて、それぞれauthologと示唆される遺伝子が明らかになった。また、データベース検索によって、Pj9はナメクジウオのparaHox遺伝子であるXloxのアミノ酸配列と完全に一致すること、Pj13はウニでは新規の後方Hox遺伝子らしいことが示された。 以上の結果から、ヨツアナカシパンはHox4とHox5遺伝子のいずれかが欠けていることを除けば、完全なそして発現している1組のHox遺伝子セットを持っていることが明らかになった。ヒトデ、ナマコおよびクモヒトデにおいてもHox4とHox5遺伝子のどちらかが欠けていると示唆されているので、この欠失は棘皮動物の特徴かもしれない。現在、Pjl-Pj13のそれぞれを区別する特異的な配列を3'-RACE法によって単離しており、これまでにPj1,4,7,9の3'側の配列を得ている。これらの配列をプローブとして、胚における各Hox遺伝子の発現時期と発現場所を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)