1999 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ヘモグロビンの分子構築にみるヘモグロビンの多様性と分子進化
Project/Area Number |
10836015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤 寿夫 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90035692)
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Keywords | ヘモグロビン / 糖鎖接着 / 超分子 / 環形動物 / 分子進化 |
Research Abstract |
環形動物の細胞外巨大ヘモグロビン(Hb)の分子構築は"12{3(a・A-b-B)・3/2L_2}"と表されるが、本研究では、多毛類に属するアオゴカイPerinereis aibuhitennsisのHbを用いて、グロビン鎖(a,A,b,B)とリンカー(L)との間には糖鎖接着があるとする我々の仮説(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.92,7367(1995))を検証することを主な目的としている。本年度に得られた新たな知見のうち主なものは以下の通りである。 1.1.5M塩酸グアニジン中でゲルろ過を行い、リンカーとグロビンに分離し、それぞれについてレクチン活性と糖鎖への結合活性を調べた。その結果、リンカー鎖は強い血球凝集反応を示した。これとは対照的に、グロビンは血球凝集反応を全く示さなかった。PVDF膜にブロットした各構成鎖の糖鎖結合能をみると、リンカー(L2)が強い糖鎖結合を示した。これらの結果は我々の仮説を強く支持する(Matsubara et al.,Comp.Phyiosl.Biochem.,124A(Suppl.),S94(1999)。 2.ハオリムシの巨大Hbの分子構造と特異な機能の関係について調べた。ハオリムシは、1977年にガラパゴス諸島の近くで深海調査艇アルビン号が採集した謎の生物である。口も肛門もないハオリムシは、硫化水素をHbに結合して硫黄細菌に届ける。ハオリムシ、タマシキゴカイ、アオゴカイ、ツリミミズなど棲息環境の異なる環形動物を取り上げて、Hbに対する硫化水素の結合性を比較した。その結果、アオゴカイとツリミミズのHbは硫化水素を結合しないが、他は全て硫化水素を結合した。巨大Hbの分子構造を比較して、フリーのSH基をもつCys残基に硫化水素が結合することをほぼ確定した。巨大Hbの役割には2つあり、それは金属酵素にとっての強烈な阻害剤である硫化水素の脅威に対する解毒と共生細菌への硫化水素の運搬である(Zal et al.,Comp.Phyiosl.Biochem.124A(Suppl.),S16(1999)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsubara,Keiko: "Lectin-like binding activity of linker L2 in giant hemoglobin from Perinereis aibuhitensis."Comp.Physiol.Biochem.. 124A(Suppl.). S94 (1999)
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[Publications] Zal,Franck: "The novel function of giant hemoglobins from tubeworms and annelids."Comp.Physiol.Biochem.. 124A(Suppl.). S16 (1999)
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[Publications] Yamaki,Mariko: "A submultiple is a basic functional unit of annelid extracellular multisubunit hemoglobin identified by dynamic light scattering,transmission electronmicroscopy"Comp.Physiol.Biochem.. 124A(Suppl.). S95 (1999)
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[Publications] 後藤寿夫: "Oxygen-binding and related proteins:Structure,function and evolution."比較生理生化学. 16. 233-236 (1999)