1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒエ属植物における栽培環境下で進化する生態的および遺伝的多様性の解析
Project/Area Number |
10836016
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 裕文 大阪府立大学, 農学部, 教授 (20112542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 貴子 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20264822)
副島 顕子 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00244674)
望岡 亮介 大阪府立大学, 農学部, 講師 (20221624)
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Research Abstract |
ヒエ属植物80系統を育成し、形態的特徴の調査と併せて葉身から全DNAを抽出した。すべての系統について証拠標本を作り、イヌビエ、ヒメイヌビエ、ヒメタイヌビエ、リコウビエ、ヒエの6倍体群、タイヌビエのC型とF型、非脱粒性擬態系統、穂擬態型の4倍体群とインドビエ、コヒメビエおよびE.oryizoidesを主とする国外産の種群を同定した。塩基配列の決定とITS-SSCP分析に用いる実験系統を絞り込むために、イヌビエ群とタイヌビエ群、インドビエ群についてRAPD法により系統間の相対的類似性を調べた。RAPD変異の多変量解析では主成分分析が有効で、分析した系統は、藪野が明らかとした従来の3群の生物学的種群に明瞭に分類された。これはアイソザイム変異による分析(中山ら、投稿中)によっても支持された。このことから当初分析予定としていた分類群と系統数を整理し、15分類群35系統についてtruK-F領域をPCRで増幅し、塩基配列を調べた。現在再確認作業を進めている。さらに、タイヌビエとイヌビエのそれぞれ5系統ついて、同じDNAを用い、ITS-SSCPの分析方法を検討し、さらに好適な分析条件を探索している。 標本館における調査は、国内の標本館に加えて、中国北京および昆明の標本館において進めた。その結果、国内のヒエ属植物は東アジアの変異のうち、一部分のみを占めていることが明らかとなった。ニホンビエは中国の東北区を中心に西南、西北地区にも栽培され、原始的栽培種と推定されるリコウビエ(学名未定)は西南中国を中心に評高の高い地域に分布することが判った。4倍体の栽培ビエ、モゾビエ(学名未定)に明らかに該当する標本は保存されていなかった。擬態型のタイヌビエは中国からベトナムへ広く分布し、雲南省には穂型まで酷似する穂擬態型タイヌビエの存在も明瞭となった。
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Research Products
(1 results)