1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒエ属植物における栽培環境下で進化する生態的および遺伝的多様性の解析
Project/Area Number |
10836016
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 裕文 大阪府立大学, 農学部, 教授 (20112542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 貴子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20264822)
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
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Keywords | ヒエ属 / 適応進化 / 遺伝的多様性 / 栽培化 |
Research Abstract |
ヒエ属植物15分類群について葉緑体DNAのtrnLとtrnF遺伝子間領域のシーケンスを決定し、それに基づいて系統樹を作成した。タイヌビエとイヌビエおよびタイ産のE.stagninaは同じ配列を示し、相互に同じ配列を示すコヒメビエとインドビエとは3塩基の欠失・置換によって識別された。アフリカ産のE.stagnina,E.obtsudiflora,E.crus-pavonisはアジアのヒエ属植物と6塩基欠失の大きな違いを示し、それらの種間には22塩基または1塩基の欠失や置換が認められた。RAPD変異やアイソザイム変異に基づく類似性では倍数体の違いが明瞭に示唆され、タイヌビエとイヌビエは明瞭な群を形成するので、耕地雑草として進化した両種は母親を共有し、倍数化に伴う1回の跳躍的種分化によって成立したと推定された。しかし、決定した塩基配列の長さは340にすぎないため、倍数化や挿入・欠失の時期、種群の分岐時間を推定するには、さらに情報量の多い部位のシーケンスを得る必要があり、さらにtrnA-B、C-Dのスペーサー領域の塩基配列の決定を進めている。 分析素材の整理と種向変異の実態解明を目的としたRAPDの分析では、3プライマーを用いた評価で生物学的種の確認・同定が出来ることを明らかにしたほか、15プライマー程度の分析で地理的変異が明瞭に示されることが明らかとなった。擬態やC,F型の分化、乾性地-湿性地への適応、栽培化に対応した変異は、地理的変異の大きさより小さかったので、このような適応的分化は比較的急速にすすみ、栽培化された栽培ヒエは人為的と伝播拡散されたと推定された。このような変化がどのような速度で進んだかを知る目的のITS-SSCP分析では、クローンニングの条件を検討し、安定した系を得るための解析を進めている。
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Research Products
(2 results)