1998 Fiscal Year Annual Research Report
古生代から中生代の化石菌類の研究及び植物との相互関係の解明
Project/Area Number |
10836018
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
西田 治文 中央大学, 理工学部, 教授 (30164560)
|
Keywords | 菌類 / 不完全菌類 / 化石 / 古生代 / 中生代 / 白亜紀 / 植物 |
Research Abstract |
平成10年度は、主に北海道の白亜紀化石中に含まれる菌類化石の研究を行った。 中生代だけの特異な絶滅裸子植物であるキカデオイデア類の両性生殖器官に付着侵入した不完全菌類について比較を行った結果,単一の生殖器官に複数の菌が同時に存在することがわかり,それぞれについて記載と現生の不完全菌類との比較ができた。それぞれ近縁な現生群があるが,化石であるためにまったく現生の分類群にあてはめることができないために,化石の新属新種として記載することとした。今回の研究は白亜紀の化石不完全菌を非常によい保存状態で同一のフロラから多数報告したはじめての例である。この結果はJoumal of Plant Scienceに論文 “Cretaceous Deuteromycetes on a Cycadeoidalean BisexualCone" として投稿中で,すでに印刷中であるが,出版は次年度となる。 北海道への調査を予定していたが,九州天草の下部白亜紀層から良好な植物化石が産出することがわかり,その予備調査を行った。日本では2例目となる白亜紀の絶滅シダ,Tempskyaの産出が確認された。下部白亜紀産のものとしてはアジアではじめてである。今後菌類の探索を行う予定である。白亜紀初期は被子植物が分布を拡大した時期であるので,菌類がどのように変化したかを知るための好適な材料となろう。 ペルム紀の化石菌類についてはオーストラリア産の珪化泥炭中にさまざまな菌類が存在することがわかってきたが,生殖器官などまだ充分な情報が得られたとはいえない。次年度に継続して観察を続ける。現在子嚢菌類やミズカビ類などがみつかっており,ペルム紀のゴンドワナ大陸に発達した氷河周辺の植生中で菌の果たす役割,とくに腐朽菌の生態を明らかにしてゆく。
|
Research Products
(1 results)