1999 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
10836020
|
|---|
| Research Institution | Shinshu University |
|---|
Principal Investigator |
浅見 崇比呂 信州大学, 理学部, 助教授 (10222598)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 玲子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90186552)
加藤 雅也 西海区水産研究所, 石垣支所, 主任研究官
|
|---|
| Keywords | 左右軸 / 左右 / 形態形成 / 適応度 / 進化 / 系統的制約 / 発生的制約 / 巻貝 |
|---|
| Research Abstract |
オナジマイマイの巻型分離系統を用い、以下の仮説を検証した。
仮説1:系統的制約のもとに進化した巻型と体構造は、相互に依存して固体発生する。ゆえに、左右巻型が逆旋すれば他の形態形成は正常には進行せず、右と左の個体は厳密な鏡像対称にはなりえない―予測:逆旋個体は、環境とは関係なく生まれつき適応度が低い。
仮説2:左右巻型間の交接は物理的に困難なため、少数派の巻型は交尾(繁殖)成功率が相対的に低い。ゆえに、逆巻個体は頻度に依存して自然淘汰され、集団から消失する。左右巻型が安定して共存できないのは、逆旋発生により構造異常が生じ、適応度が低下するからではない―予測:左右巻型の適応度は、生得的に差はなく頻度に依存して変化する。
結果として、以下の2点により仮説1は否定され、仮説2が支持された。
(1)成長・生存率の測定:オナジマイマイの10対から、左右巻型の幼貝を20個体づつ各対から得た後、体重増加率、生存日数、成熟に要する日数を測定した。左右巻型の間には、統計的に有意な差は検出されなかった。
(2)繁殖形質の測定と比較:成長・生存率を測定した個体が成熟し、成長を停止した時点で体サイズ(殻高・殻径)を測定した。これらの成熟個体を同じ巻型どうしで無作為に組み合わせ、各対ごとに産卵率・卵塊の孵化に要する日数、孵化率を測定した。左右巻型の間には、成熟体サイズ、孵化率、孵化までの日数、産卵率のいずれにも統計的に有意な差は検出されなかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Asami,T.etal.: "Evolution of mirror images by sexually asymmetric behavior in hermaphroditic snails."American Naturalist. 152. 225-236 (1998)
-
[Publications] Asami,T.& Ohbayashi,K.: "Effects of oviposition substrate on lifetime fecuridity of the terrestrial pulmonate Bradybaena similaris."Journal of Conchology. 36. 1-9 (1999)
-
[Publications] 浅見崇比呂: "はらわたの左右が進化する-巻貝の鏡像進化"遺伝. 52. 34-39 (1998)
-
[Publications] 浅見崇比呂: "らせんと体軸の鏡像進化"遺伝. 53. 43-46 (1999)
-
[Publications] Ribi,G.& Katoh,M.: "Weak preference for conspecitic mates in the bybridizing snails."Ethology Ecology & Evolution. 10. 383-392 (1998)
-
[Publications] 加藤雅也: "亜熱帯域と温帯域における巻貝類の生態遺伝学"月刊海洋. 号外No.20. 171-179 (2000)
