1999 Fiscal Year Annual Research Report
変動強磁界の神経伝達機構に及ぼす影響と環境規制基準への応用
Project/Area Number |
10837011
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
芳地 一 徳島大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00219156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉栖 正典 徳島大学, 医学部, 助手 (60294667)
清水 英治 徳島大学, 医学部, 講師 (50187449)
池原 敏孝 徳島大学, 医学部, 講師 (40111033)
|
Keywords | 副腎クロマフィン細胞 / 神経細胞 / カルシウムイオン / 強磁界 |
Research Abstract |
刺激分泌連関を解明することは、神経伝達を知る上で重要である。カテコールアミンニューロンのモデルである副腎クロマフィン細胞は、絶えず刺激を受け、開口分泌の様式でエピネフリンを放出している。この開口分泌におけるCa^<2+>の必要性については論を異にすることはない。そこで、最良のモデルである副腎髄質クロマフィン細胞の培養系を用いて、Ca^<2+>等のイオン輸送およびカテコールアミン放出に及ぼす変動強磁界の影響を明らかにする目的で研究を遂行した。 脳内での神経伝達物質の一つとされているブラジキニンを用いて、細胞内Ca^<2+>濃度の変動に対する変動強磁界(0.07^〜1.7T)の影響を観察した。その結果、副腎クロマフィン細胞を曝磁すると、ブラジキニンによる細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出は抑制された。細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出には、細胞内情報伝達物質であるイノシトール3リン酸が重要な役割を演じている。イノシトール3リン酸の生成量は曝磁により影響されなかったが、細胞内へイノシトール3リン酸の導入による細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出は曝磁により抑制された。この成績は、磁界が細胞内情報伝達物質の生成に影響するのではなく、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位に何らかの作用をしているものと考えられる。以上の成績から、磁界暴露が副腎髄質クロマフィン細胞の細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>遊離を抑制することを示唆された。現在、変動強磁界による細胞内Ca^<2+>濃度の上昇抑制が如何なる機構によるものかを詳細に検討している。 今回の知見は、磁界が神経伝達を阻害していることを示唆するものである。磁界を応用している高度医療機器MRI解析をおこなった患者が、診療後に「意識の鮮明さに欠ける。」との訴えもあり、脳神経への曝磁と患者の意識の鮮明さに何らかの関係があるものと推察される。今後、この関係について新たな解析をおこなうことが重要と考えている。
|
-
[Publications] Toshitaka Ikehara: "Effects of a time-varying strong magnetic field on transient increase in cytosolic free-Ca^<2+> induced by bradykinin in cultured bovine adrenal chromaffin cells"FEBS Lett.. 435(2,3). 229-232 (1998)
-
[Publications] Akira Tokumura: "Positive and negative controls by protein kinases of sodium-dependent Ca^<2+> efflux from culturecd bovine adrenal chromaffin cells stimulated by lysophosphatidic acid"Biochim.Biophys.Acta.. 1389(1). 67-75 (1998)
-
[Publications] Hitoshi Houchi: "Endothelin-1 stimulates sodium-dependent calcium effux from bovine adrenal chromaffin cells in culture"Brit.J.Pharmacol.. 125(1). 55-60 (1998)
-
[Publications] Chunhe Chen: "Effects of cytosolic ATP and other nucleotides on Ca^<2+>-activated K^+ channels in cultured bovine adrenal chromaffin cells"Europ.J.Pharmacol.. 350(2,3). 293-299 (1998)
-
[Publications] Hitoshi Houchi: "Possible role of bradykinin on stimulus-secretion coupling in adrenal chromaffin cells"J.Med.Invest.. 46(1,2). 1-9 (1999)
-
[Publications] Takabumi Umeda: "Stimulatory effect of enkephalins on calcium efflux from bovine adrenal chromaffin cells in culture"Life Science. 65(21). PL247-252 (1999)