1998 Fiscal Year Annual Research Report
圧ストレスが骨芽細胞のサイトカイン発現におよぼす影響
Project/Area Number |
10838027
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石田 敏博 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20295653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20178031)
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Keywords | 骨芽細胞 / 静水圧 / サイトカイン / MG63 / ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は,骨芽細胞によるサイトカイン産生に力学的負荷が与える影響について検討することである.負荷する圧力として,1MPaを生理的圧力,10MPaを生理的圧力のなかでも強い負荷,そして50MPaを非生理的圧力として設定した.これら静水圧をヒト骨芽細胞様細胞株MG63およびその対照としてヒト線維芽細胞株TIG3に2時間負荷した.MG63は大気圧中では紡錘形であったが,50MPaの静水圧負荷直後は円形に変化していた.その後24時間以内に細胞は紡錘形の形態を取り戻した.1および10MPaの静水圧負荷後には形態はほとんど変化は認められなかった. 各静水圧負荷後,トリパンブルー色素染色を行ったが,いずれの圧でも細胞死は認められなかった.次にMG63とTIG3に各種静水圧負荷を加え12時間および24時間後に培養上清を採取し,IL-1α,β,IL-6,IL-8,TNFαの培養上清中の濃度をELISAによって測定した.IL-1α,β,IL-6,TNFαの培養上清中濃度はすべての圧力負荷後で検出限界(20pg/ml)以下であった.一方IL-8の濃度は12時間後,負荷なしでは194.3±109.5pg/ml,50MPa負荷では801.5±337.4pg/mlであり,負荷なしに比べ約4.1倍で統計学的に有意差を認めた(p<0.05).24時間後の培養上清中のIL-8は負荷なしでは3502±584 pg/ml,50MPa負荷では8569±1428 pg/mlであり,負荷後24時間でも有意差を認めた.対照のTIG3ではIL-8濃度はすべての圧力負荷において検出限界以下であった.以上から非生理的圧力負荷により培養骨芽細胞における炎症性サイトカインのIL-8産生が亢進することをタンパク質レベルで明らかにできた.現在,RNAレベルでの発現の亢進および他のサイトカインの産生に与える影響について検討中である.
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