1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10838031
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
世木 秀明 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (60226636)
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Keywords | 構音障害 / 音響分析 / 聴覚印象評価 / パワー変化速度 / スペクトル変化速度 / 発話時間長 / 基本周波数変化率 / DPマッチング |
Research Abstract |
本研究では、中枢神経疾患に起因する運動障害性構音障害患者の構音状態を客観的に評価できる音響的評価パラメータの検討を昨年度行った研究結果および、本年度新たに分析評価を行ったデータを基に行った。さらに、音声治療専門家による聴覚印象評価と本研究で提案した音響的評価パラメータとの対応関係についても検討を加えた。 本年度に行った具体的な研究内容および結果は、以下の通りである。 1).的確な構音評価を行うための音響的評価パラメータに関する検討の結果、昨年度検査文として定めた3モーラ無意味音節/apapa/、/akaka/を「いい〜です。」の中に埋め込んだ文中に含まれる無声破裂子音/p/または、/k/に続く母音/a/のスペクトル変化、パワー変化速度、検査文中の「いい」の部分における基本周波数変化率、検査文全体の発話時間長および、患者音声と正常者音声のパワー変化パタンの差異をDPマッチング法により求めた評価値の5種類を本研究における音響的評価パラメータとした。さらに、これらの評価パラメータが抽出可能な分析評価プログラムを開発した。また、音声治療専門家による聴覚印象評価の評価項目は、検査文における発話リズムの異常、発話速度の異常、構音状態の異常および、患者の自由発話における発話明瞭度とプロソディの異常度とした。さらに、発話明瞭度とプロソディの異常度の評価値を加算したものを総合的な評価値とし、これを重症度とした。 2).症状の異なる運動障害性構音障害患者181音声および、正常者350音声の分析評価結果と音声治療専門家4名による聴覚印象評価項目のうち、特に構音状態の異常とパワー変化速度、プロソディの異常度と発話時間長、発話明瞭度と基本周波数変化率、重症度とDPマッチングによる評価値の間に高い相関が見られた。これらの結果から、本研究で提案した音響的評価パラメータが運動障害性構音障害患者構音の客観的評価に有効であると考えられた。
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