2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢障害者とその家族のQOLの向上のためのリハビリテーションと福祉との連携
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10838032
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
上田 敏 帝京平成大学, 情報学部・帝京メディア・ラボ, 研究員 (80010213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 弥生 国立長寿医療研究センター, 部長
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Keywords | QOL / 高齢者 / 障害者 / 家族 / リハビリテーション / 福祉 |
Research Abstract |
本研究は高齢障害者のQOL(quality of life,人生の質)を向上させるための有効なプログラムを確立しようとするものである。その際重要なことは、第一に高齢あるいは障害は本人だけでなく家族のQOLに対しても相当の影響を与えるものであり、本人と家族との相互作用(特に「悪循環」)が重要だということであり、第二にはQOL向上の実現は医学的リハビリテーション(以下リハと略)だけでなく、社会リハを含む総合的リハによってはじめて可能になることである。第三に重要なのはWHO国際障害分類改定案に「生活機能と障害」として示されているものに対応する客観的QOLと主観的QOLとの相互作用を重視しなければならないことである。 最終年である本年度は一昨・昨年の成果をふまえ、高齢障害者とその家族における低下した客観的および主観的QOLを向上させるための有効な方策を探ることを目的として、脳卒中、骨折等について医学的リハを受けた後に自宅に復帰し在宅生活を送っている人々とその配偶者を対象に外来および訪問による総合リハ的な介入を行い、掘り下げた面接調査によって介入前後の客観的および主観的QOLを評価し、介入プログラムの有効性を検討した。 以上の研究の結果、1)高齢障害者本人と家族のQOL低下に対し、QOL向上に向けた、「目標指向的プログラム」に立ったADL(日常生活行為)・ASL(社会生活行為)等の「活動」レベルの能力向上を中心とした介入が有効であること、2)「障害の受容」が主観的QOL向上において重要であること、3)いったん達成された「障害の受容」が、社会生活範囲の拡大、新しい課題への挑戦等によって再び一時的にゆらぐ「仮の受容」という現象がみられるが、それはより高いレベルのQOL実現に向けてのステップであること、などについて興味深い結果が得られた。
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