1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中片麻痺患者の足関節他動的運動における痙縮-stiffnessに関する研究
Project/Area Number |
10838035
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 彰男 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70118941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千野 直一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051531)
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Keywords | 脳血管障害 / 痙縮 / 片麻痺 / stiffness / リハビリテーション |
Research Abstract |
平成11年度は痙性片麻痺患者のstiffnessの定量的評価を角速度の増加を踏まえて検討し、痙縮や麻痺などの定性的評価との比較を含めて施行した。対象は慢性期脳卒中痙性片麻痺患者20名および健常者15名とした。全例について等速性運動機器を用いて、両側足関節の他動的運動を10、50、100度/秒の角速度にて施行し、抵抗トルク、角度変化、角速度変化および下腿筋群の表面筋電図を同時測定し、各々を筋電計に入力してstiffnessの解析を行った。また各速度10度/秒における麻痺側stiffnessと、modified Ashworth clinical scale(Ashworth scale)およびStroke Impairment Assessment Set(SIAS)との関係を検定した。本年度の知見としては、1.麻痺側stiffnessにおいて角速度50、100度/秒では、10度/秒に比して有意な増大を認めたが、50度/秒と100度/秒との間では有意差を認めなかった。2.角速度50、100度/秒では麻痺側において、下腿三頭筋群に伸張反射を認める群と認めない群とに分かれた、3.角速度10度/秒での麻痺側stiffnessと50および100度/秒での麻痺側stiffnessの差は伸張反射出現の有無により有意差を認めなかった、4.患者群麻痺側stiffnessとAshworth scaleおよびSIASとの間には、いずれも有意な相関関係を認めた。以上より痙性片麻痺患者の痙縮の成因については、伸張反射以外の関節組織や筋肉・結合組織や腱などの弾性要素の関与が重要であると推察された。平成12年度はさらに症例を重ねて、stiffnessの定量化と発症急性期からの痙縮の経時敵変化や予後予測のために定期的評価を行った上で、痙縮の成因や生体力学的変化を解明していくことを計画している。
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