1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10838042
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
島崎 奈保子 日本大学, 医学部, 助手 (50267085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 幹弘 東京女子医科大学, 教授 (70086586)
新美 成二 東京大学, 大学院・医学系研究科・音声言語医学, 教授 (00010273)
牧山 清 日本大学, 医学部, 講師 (00139172)
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Keywords | 喉頭全摘出術 / 音声再建 / 高速撮影 / 頭剄部癌 / 新声門 |
Research Abstract |
喉頭摘出後に音声再建術を施行した患者の下咽頭を観察できるように新美の施設が現有する高速デジタル撮影装置およびデジタル記録部分に新美、島崎、牧山により若干の改良を行った。この作業と平行して喉頭・下咽頭を摘出した患者5例について喉頭ファイバー検査で音声再建部の観察と音声サンプルの記録を行った。その中の1例については高速デジタル撮影装置を用いて発声時の検査を施行した。このデータを島埼、牧山、新美、野崎で解析を行い、喉頭摘出術後の食道発声患者の高速デジタル撮影検査データと比較検討した。 その結果、食道発声患者では発声時に食道入口部が全周性に狭小化し、同部の粘膜が仮声門として振動していた。食道入口部粘膜を覆うように下咽頭収縮筋が残存しており、発声時にはこの筋肉が収縮するために食道入口部が狭小化すると考えられた.この発声動態は正常者が声門を閉じて発声する機構に類似していた。喉頭・下咽頭を摘出し、空腸移植による気管食道シャントによる音声再建術を施行した症例では下咽頭収縮筋がないために積極的に仮声門を作成することが不可能であり、移植空腸内粘膜蒭壁のある部分が振動していた.この仮声門は発声時にも常にある程度の間隙があり、ベルヌーイ効果によると考えられる空気力学的要素により仮声門になりえると推測できた.すなわち、食道発声とは全く異なった発声動態が観察できた.この研究成果は平成10年11月の日本音声言語医学会講演会で発表した。その後、皮膚を用いて音声再建を行った症例の検査を終了しており、さらに検討を重ねていく予定である.
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