Research Abstract |
健康成人15名を対象に速い,通常,遅い歩行時での下肢筋(前脛骨筋:TA,腓腹筋内側頭:MG,大腿外側広筋:VL,内側ハムストリングス:MH)の筋電図周波数分析を行った.周波数解析は,非線型時系列解析ソフトMemCalcを用いて中間パワー周波数(MdPF),積分値を求めフットスイッチを同期させて立脚相初期,中期,後期における各筋のMdPFを比較した.その結果,常歩行時では,立脚相初期での4筋の比較においてVLのMdPFがTAのMdPFより有意に高かった.また,立脚相中期,後期のMGのMdPFと積分値は,立脚相初期のそれより有意に高かった.以上から,VLは,立脚相初期においてTAより,より大きな運動単位の漸増が起こっていることが示唆された.MGでは,立脚相初期より中期〜後期の蹴りだしには,より大きな運動単位の漸増によって筋力を発揮していることが示唆された. 次に歩行速度を変えた場合,歩行速度の増加に伴い筋活動は大きくなり,速い歩行時,TA,MGの立脚相初期におけるMdPFは通常あるいは遅い歩行時より有意に高かった.その他のVL,MHでは有意差はなかった.速い,遅い歩行時での立脚相初期の各筋のMdPFを比較した場合,通常歩行時とは異なっていた.これは,歩行速度が変化すると,各筋の筋活動の大きさの比率も異なり,筋組織の違いなども影響して運動単位の制御が個々に違いがあることが示唆された.以上の結果は,第36回日本リハビリテーション医学会(平成11年5月20採択),第11回国際筋電図&臨床神経生理学会(平成11年9月,投降中)に発表予定である.今後,さらに症例を増やし,詳細な高周波成分の解析や廃用性筋萎縮の患者の分析を行い検討していきたい.
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