1999 Fiscal Year Annual Research Report
身体障害者の水泳競技における障害区分についての研究
Project/Area Number |
10838048
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
奥田 邦晴 大阪府立看護大学医療技術短期大学部, 助教授 (20269856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠中 泰彦 吉備国際大学, 保健科学部, 講師 (10309601)
林 義隆 大阪府立看護大学医療技術短期大学部, 教授 (90269837)
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Keywords | 身体障害者 / 水泳 / 障害区分 / バイオメカニクス / 身体障害者スポーツ / 脳性麻痺 / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
障害者の水泳競技において、障害や障害度がどのように水泳能力に影響するかについては客観的なデータはほとんどなく、障害区分法の妥当性についても明らかではない。中でも、脊髄損傷や脳性麻痺の選手数は多く、その損傷レベルや体幹・下肢の状態の違いにより麻痺肢や体幹が運動速度や重力の影響を大きく受ける。そこで、三次元動作解析装置を用いて脊髄損傷者および脳性麻痺者の水泳動作を運動学的に検討した。方法は、距離25mのプール内で被験者に最大限の努力で泳がせ、水中ビデオカメラ4台にて水泳動作を記録した。解析には東総システム社製VM95を用いた。結果、クロール動作において脊髄損傷者は健常者の水泳選手と比較して特徴的な差異を示した。特に、胸髄損傷者では、股・膝関節の屈曲角度が大きい群と比較的小さい群の2群に分かれ、前者では体幹の迎え角および骨盤部の回旋角度が大きい傾向が見られた。これは麻痺による骨盤部・下肢のコントロール機能の低下によるものと考えられた。一方、平泳ぎでは特に、プルによる推進力が重要であるが、麻痺領域が水の抵抗を生みだしグライド時期に速度変化を十分に引き出せない点が特徴的であり、また体幹の上下運動により推進力を効率的につなげていくことも困難であることがわかった。脳性麻痺者では骨盤の最大回旋角度は健常者に比べ右7.3〜9.5°、左8.8〜10.1°と高値を示した。1ストローク中の両肩関節の鉛直方向の移動量の平均も比較的高値を示した。プル、キックといった四肢の筋によって発生した力を水に加えて推進力とするためには中枢端である肩甲骨と骨盤の固定が必要となるが、脳性麻痺では中枢部の固定性が低い。従って体幹のロール、ピッチ、ヨーの増大が水泳動作の困難性に関与していると考えた。クラス分け評価において、体幹の回旋運動、特に上部体幹-下部体幹の動きを観察することが重要であることがわかった。
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