1998 Fiscal Year Annual Research Report
健康牛並びに第四胃疾患牛における第四胃壁在神経・内分泌細胞の免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
10839001
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
田口 清 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50250535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 則夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (30281877)
北村 延夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (70142792)
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Keywords | 乳牛 / 第四胃 / 壁在神経 / 内分泌細胞 / 免疫組織化学 / 神経節 / 神経線維 |
Research Abstract |
乳牛第四胃疾患の発生原因のひとつに神経障害に基づく第四胃運動機能低下が挙げられている。しかし,従来の病理組織学的検索方法では第四胃の運動・消化を司る胃壁在神経系・内分泌細胞の分布状態を詳細に観察できず,第四胃疾患と神経障害との関連を究明することはできなかった。近年,胃腸壁在peptide-containing nerveの免疫組織化学的検索法が神経分布観察に極めて有用であることが明らかにされている。 我々は第四胃疾患の発生原因を第四胃壁在神経障害との関連から明らかにすることを最終目的として,本年度は,今だその詳細が不明な筋層および粘膜下における神経分布をProtein gene product 9.5(PGP9.5),Neuro-filament protein(NFP)およびSubstance P(SP)抗体を用いて4頭の健康乳牛の第四胃を免疫組織化学的に検索した。 PGP9.5に免疫反応を示す神経は反応性が高く,粘膜下から漿膜層まで豊富に観察され,粘膜下および内外筋間では神経節あるいは叢として,筋層では神経線維として明瞭に観察された。NFPに免疫反応を示す神経細胞はPGP9.5に比べ反応性が低かったが,粘膜下層および筋層に神経線維として散在していた。SPに免疫反応を示す神経細胞はNFPに比べて反応性が低く,筋層間神経節および筋層内に神経線維として散見された。 以上の成績から,今回実施した免疫染色法はそれぞれ反応性の程度に差異は認められたが,個体差は認められず,とくにPGP9.5抗体による免疫染色は健康乳牛の第四胃壁在神経系の分布検索に優れていることが明らかにされた。 なお,今回実施した免疫染色法は,前胃(牛)や胃腸(ラット)の粘膜下層および筋層に分布する神経終末病変をも明瞭に観察できたという報告もある。従って来年度は第四胃疾患自然例および実験的に作製した迷走神経消化不良例(迷走神経幹切断例)や第四胃食滞例(幽門縫着例)における第四胃壁在神経系を本免疫染色法により検索し,第四胃疾患と神経障害との関連を明らかにしたい。
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