1998 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ腎症モデルと腎症自然発症例の尿中NAGアイソザイムパターン-尿中アイソザイムパターンは腎ホモジネート中のパターンを反映するか-
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10839003
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 れえ子 岩手大学, 農学部, 助教授 (80142892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 教授 (40003785)
首藤 文栄 岩手大学, 農学部, 教授 (60001533)
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Keywords | NAG(NAGase) / 尿 / アイソザイム / ウシ / 腎臓 |
Research Abstract |
今年度の研究目的は以下の通りであった. 1.ウシの腎疾患診断マーカーとして尿中NAGアイソザイム分析を応用するために,ウシ腎症モデルと自然発症例のアイソザイム分析を行い,腎臓の病理組織学的所見と比較検討する.2.尿中NAGアイソザイムパターンが腎組織中パターンを反映するか検索するとともに尿細管由来低分子蛋白の尿中排泄との関連性を明らかにする. この目的に従って以下のような研究を実施し,研究成果が得られた. (1)ウシの尿中NAG指数ならびにアイソザイム分析法の確立:ウシの腎疾患診断マーカーとして尿中NAGアイソザイム分析を応用するために,健康牛の尿について4MU-NAG法,MCP-NAG法,PNP-NAG法を用いてNAGを測定し相関を調べた.また,供試牛の性差や年齢差による比較の結果,尿中NAG濃度を尿中クレアチニンで除して得られるNAG指数を使用すれば比較が可能であることが判明した.次にセルロースアセテート膜電気泳動法とDEAEセファロースミニカラム法によりアインザイムパターンを検討して,健康牛のパターンを得た. (2)腎症自然発症例における検討:多数の自然発症例を収集して,尿中NAG指数とアイソザイムパターンを分析した.その結果,尿中NAG指数は健康牛と比較して明らかに高値を示し,アイソザイムパターンではB分画の増加が明らかであり,このパターンはヒトや実験動物で報告されている尿細管障害パターンと同様であった.次に症例の腎臓の病理組織学的変化と,NAGアイソザイムパターンを比較検討した.その結果腎臓では明らかな尿細管病変像が観察されており,尿中NAG指数とアイソザイムパターンは腎疾患診断マーカーに成り得ることが示された.現在も,自然発症例を継続して収集中. (3)ウシ腎症モデルの作成:重クロム酸カリウムによる腎症モデルの作成に成功.現在,腎ホモジネート中のアイソザイムパターン分析を実施中.
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[Publications] Reeko Sato,et.al.: "N-acetyl-β-D-glucosaminidase activity in urine of cows with renal parenchymal lesions." Am.J.Vet.Res.60(4). (1999)
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[Publications] 佐藤れえ子: "尿から得られる情報-尿沈渣と尿中酵素NAG-" 家畜診療. 45(8). 501-512 (1998)