1998 Fiscal Year Annual Research Report
イヌにおける急性相反応が薬物の体内動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
10839006
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下田 実 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50154323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小久江 栄一 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014965)
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Keywords | イヌ / 急性相反応 / 薬物代謝 / チトクロームP450 |
Research Abstract |
ビーグル犬3頭にE. coli由来リポポリサッカライド(LPS)を50μg/kg筋注し、急性相反応を誘発した。投与後24時間で、アンチピリン5mg/kg静注後の全身クリアランスを調べた。さらに、LPS投与後28時間で殺処分して肝臓を摘出し、チトクロムP450(CYP)の含量およびCYPサブファミリーの活性を調べた。また、血漿中アルブミン及びα_1-酸性糖蛋白(AGP)濃度を測定するとともに、薬物の血漿蛋白結合をin vitroで調べた。 1. アンチピリンの全身クリアランスは、LPS処置前の値の60〜80%(平均65.3%)まで低下し、CYP活性がLPS投与によって低下していることが示唆された。肝臓のCYP含量は対照群(平均1.36nmol/mg protein、3頭)の約60%程度であった。CYP1A2(エトキシレゾフィン脱エチル化)、CYP2C9(トルブタミド水酸化)、CYP2C19(メフェニトイン4'水酸化)、CYP2D15(ブフラロール1'水酸化)およびCYP3A4(テストステロン6β水酸化)活性は、最大速度で見るといずれも低下し、対照群の52〜74%であった。Km値には有意な差は認められなかった。以上から、LPSによって誘発された急性相反応時に多くのCYP分子種の活性が低下するものと考えられた。各分子種の量の低下の程度に関しては、次年度Wesetrn blotによって明らかにする予定である。 2. 血漿中のアルブミンおよびAGP濃度に有意な変化は認められず、試験に用いたテオフィリン、フェニトインおよびニフェジピンの結合動態にも有意な変化は認められなかった。 3. 次年度以降は、CYPによる代謝が主要な消失経路である薬物の体内動態に対して、本研究で明らかにされたCYP活性の低下がどの程度変化をもたらすかを明らかにし、これらを基本に、感染症などの急性相反応時の適切な薬物投与計画法を提案していく予定である。
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