1999 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの発情行動発現に関わる脳内メカニズムとその人為調節に関する研究
Project/Area Number |
10839011
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (00137241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川手 憲俊 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80221901)
玉田 尋通 大阪府立大学, 農学部, 講師 (10155252)
澤田 勉 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60081600)
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 医学部・附属動物実験施設, 助教授 (50106647)
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Keywords | イヌ / 発情周期 / 下垂体 / 子宮 / GnRHレセプター遺伝子 / エストロジェンレセプター / エストロジェン |
Research Abstract |
イヌの発情行動発現に関わる脳内メカニズムを内分泌学的に検討し、以下の結果を得た。 1.雌イヌの発情周期中における下垂体の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)に対する反応性の変化および下垂体中GnRHレセプター(GnRH-R)遺伝子の発現量をcompetitive PCR法を用いて検討した結果、下垂体のGnRHに対する反応性は無発情期の後期に増加していた。また、下垂体中GnRH-R遺伝子の発現量も同様に無発情期の後期に高値を示した。これより、無発情期の後期の雌イヌでは下垂体中のGnRH-R遺伝子の発現量が増加し、そのレセプター量が増加することにより、GnRHに対する反応性が増加することが示唆された。 2.雌イヌの発情周期中における子宮内エストロジェンレセプター(ER)量の動態およびその調節因子について検討した結果、子宮中の総ER量(細胞質内および核内の総和)は発情前期に最高値を示した。このうち、作用発現の指標となる核内ER量についても、総ER量の変化とほぼ並行して発情前期で最高値を示した。卵巣を摘出したイヌにエストラジオール・ベンゾエート(EB)を投与し、子宮内ER量について検討した結果、少量のEB投与群では、核内および細胞質内ともに有意に増加したが、多量のEB投与群では増加の程度は小さいものであった。これより、発情前期の雌イヌにおいては、エストロジェンが子宮に働きかけ、自身のレセプター量を増加させることにより、子宮の感受性を高め、発情時の準備を行なっていることが示唆された。 以上の結果より、雌イヌの発情行動発現の脳内メカニズムの一つとして、無発情期の後期から下垂体のGnRHに対する反応性が増大することにより、LH分泌量の増加をもたらす。増加したLHは卵巣からのエストロジェン等の分泌を促進する結果、子宮のホルモンに対する感受性が高められ、それにともなって発情が回帰するという一連の可能性が示唆できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 稲葉俊夫: "犬の臨床繁殖ー発情回帰の内分泌"InfoVets. 1・4. 45-49 (1998)
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[Publications] 稲葉俊夫: "犬の臨床繁殖ー発情の人為的調節"InfoVets. 1・5. 4-8 (1998)
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[Publications] Hiroyuki Tani, Toshio Inaba: "Increased LH pulse frequency and estrogen secretionaassociated with termination of anestrus followed by enhancement of uterineestrogen receptor gene expression in the beagle bitch"Theriogenology. 52・4. 593-607 (1999)