1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10839017
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Research Institution | AZABU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
若尾 義人 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20063969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 孝夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60104642)
渡辺 俊文 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10191777)
武藤 眞 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (90130898)
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Keywords | 犬 / 僧帽弁閉鎖不全 / 僧帽弁逸脱症 / キャバリア・キング・チャールス・スパニエル / collagen type |
Research Abstract |
(目的)犬の僧帽弁弁膜症(本症=MR)の病理変化は、現在までに僧帽弁(M弁)に酸性ムコ多糖類が蓄積し弁の粘液変性による肥厚、変形が知られている。自然発症の臨床例を用い、対照に本症羅患の少ないビーグル犬3例を供試して、M弁のcollagen type分けを行う。なお研究にあたり米国心臓病学会の動物実験指針(1985)に準拠した。(方法)検索は死亡後可能なかぎり速やかに心を採出し10%ホルマリン固定液に浸積した9例。犬種別内訳はビーグル犬2例(2才1例、3才1例)、マルチーズ1例、ポメラニアン1例、キャバリアキングスチャルズスパニエル(KKCS)1例、柴犬1例、また他実験から転用のビーグル犬3例(2才1例、3才2例)。年齢層はすべて成犬、KKCSのみ7才である。(1)M弁の肉眼変化は変形・肥厚を指標に軽度〜高度群に区分けした。(2)M弁前尖の組織標本を作製しH&E染色、マッソン染色またPAS、アルシンブルー染色を施行。(3)免疫染色は一次抗体にcollagen typeI-V(Quartett社製)またcollagen typeI+III(Canine,Biogenesis社製)、LSAB2(DAKO社製)の系で検討した。(結果)(1)肉眼観察ではM弁の弁膜変化が軽度な群にマルチーズ1例、ビーグル2例、中等度な群にビーグル2例、KKCS1例、高度群に柴犬1例が、また変化のない群にポメラニアン、ビーグルが各1例認められた。(2)通常の組織学的観察では肉眼観察でえた軽度〜高度群の弁膜に結合織の増殖の程度が肉眼観察同様に、また粘液変性については中等度〜高度群において微弱ながら観察できた。(3)免疫染色では、ポメラニアンにcollagen typeIIIとV、ビーグル犬にタイプV、またKKCSにIIIとVがいずれも微弱ながら確認できた。(考察)本症の犬種別発生頻度は、少数発生の犬種にビーグル犬、ついでマルチーズ、ポメラニアンなど、そして多発犬種にKKCSの順で考えられている。今回、M弁の肉眼観察結果が軽度群にマルチーズ、ビーグル犬、中等度群にビーグル、KKCS、高度群に柴犬の順であった。これは当初の推察と異なり、今後、柴犬等の和犬を加えた症例を多数集積する必要性が生じた。通常組織染色結果では、全般的に染色性が微弱であった。免疫染色結果は、ポメラニアンにcollagen typeIIIとV、ビーグル犬にタイプV、またKKCSにIIIとVがいずれも微弱だが確認できた。
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