2000 Fiscal Year Annual Research Report
Ehrlichia canisの分離およびその分子生物学的・免疫学的解析
Project/Area Number |
10839019
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
山本 静雄 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (40130900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 真 名古屋市衛生研究所, ウイルス部, 主任研究員
猪熊 壽 山口大学, 農学部, 助教授 (70263803)
福山 正文 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (40075932)
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Keywords | Ehrlichia canis / クリイロコイタマダニ / ダニ媒介性感染症 |
Research Abstract |
平成12年度は、E.canisの抗体および16SrDNAを検出するPCRの陽性犬から抽出したPCR産物(389bp)の塩基配列の解析およびE.canisの抗体陽性を示した原因がE.muris、E.platys感染と関連があるか否かを重点的に検討した。 1.1999年1月〜2000年9月の間に採血した沖縄県下の捕獲犬454頭中70頭(15.4%)がIFA抗体陽性で、そのうち3頭(4.3%)がPCR陽性であった。これら3頭のPCR産物(389bp)の塩基配列を解析した結果、2000年に中国のイヌからPan et al.によって分離されたE.canisのそれと同一であった。それはアメリカで分離されたオクラホマ株と389bp中1塩基のみが異なるものであった。 2.1999年6月〜1999年12月の間に採血した鹿児島県下の捕獲犬362頭中11頭(3.0%)がIFA抗体陽性であり、そのうち1頭(9.1%)がPCR陽性であった。その1頭のPCR産物(389bp)の塩基配列を解析した結果、沖縄県下の捕獲犬のものと全く同一であった。 3.IFA抗体陰性犬109頭についてE.canisのPCRを実施した結果、全例陰性であった。 4.山本らを中心に実施した前述の研究では、IFA抗体が陽性であった沖縄県下(70頭)および鹿児島県下(11頭)の捕獲犬の白血球を用いて、E.murisならびにE.platysのPCRを実施したが、全例陰性の結果が得られた。 5.現在、PCR陽性犬の16SrDNAの全塩基配列(1,400bp)の解析を実施している。 6.研究分担者の猪熊を中心とした研究では、沖縄県下の捕獲犬141頭中24頭(17.0%)にE.playsのPCR陽性犬が見出された。 以上の結果は、日本のイヌにも中国で分離されたE.canisならびに台湾に多いE.platysが存在する可能性を示唆するものと考えられた。他方、我が国のイヌには、アメリカと異なり、IFAとPCRの結果が不一致のイヌが多いことから、E.canisと共通抗原性を有する微生物の存在あるいはダニの成分の抗原分析等の研究を行い、その原因を解明した上で確定診断に用いることのできる特異性の高いE.canisの抗体検査法を確立する必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山本静雄,本田政幸,芦田佳典,西村勇次,新関治男,Yasuko Rikihisa: "犬におけるEhrlichia canisに対する抗体の検出"日獣会誌. 47・10. 765-767 (1994)
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[Publications] Inokuma,H.,Yamamoto,S.,and Morita,C.: "Survey of Tick-borne disease in dogs infested with Rhipicephalus sanguineus at a Kennel in Okayana Prefecture, Japan"J.Vet.Med.Sci.. 60・6. 761-763 (1998)
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[Publications] 猪熊壽,山本静雄,棚原憲実,喜友名強,大城章信: "沖縄県におけるイヌのマダニ寄生およびマダニ媒介性疾患の感染状況"日獣会誌. 51・7. 361-364 (1998)
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[Publications] Inokuma,H.,Ohno,K.and Yamamoto,S.: "Serosurvey of Ehrlichia canis and Hepatozoon canis infection in dogs in Yamaguchi prefecture, Japan"J.Vet Med.Sci.. 61・10. 1153-1155 (1999)