1998 Fiscal Year Annual Research Report
北欧精神史-ヨーロッパにおける大地母神信仰の歴史的変容と現在-
Project/Area Number |
10871002
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中里 巧 東洋大学, 文学部, 助教授 (40277348)
|
Keywords | 精神史 / 宗教学 / 北欧 / 神話 / フィールドワーク / 福祉 / 神学 / 社会学 |
Research Abstract |
平成10年度実施計画「基礎的文献資料の収集と「精神史」概念の概括」にしたがって、以下のように作業をおこなった。 (1) アイスランド地域北欧神話関係文献およびデンマーク大地母神信仰とりわけ沼地信仰に関する関係文献を、哲学・神学・考古学・民俗学・神話学など分野横断的に研究遂行できるように、収集した。収集したテキストは、Salmonsens Konversations Leksikon.N.F.S.Grundtvigs Vaerker I Udvalg,lslendinga Soagur,The Complete Sagas of lcelanders,Sturlunga Saga,Sturlunga Saga skyringar og fraedi,Edda snorra Sturlusonar,Natturufarskort,Voelsunga Saga og Ragnars saga lodborkar,Voeluspa,The Viking Gods、である。入手困難な資料なためコピーしたものは、Adam's von Bremen:Hamburgische Kirchengeschichte,1850である。その他、精神史的方法を遂行するうえで、日本語における翻訳語史的資料が不可欠であることが明白となったため、羅葡日対訳辞書・和英語林集成等の資料をコピー化した。 (2) ドイツロマン派以降における「精神史」概念の取り扱いをめぐる変遷を概括して、現在、ヨーロッパとりわけ北欧地域において、人間精神の総合的有機的理解の企てとしての精神史的アプローチが、過小評価されいる原因を追究するとともに、現代という時代状況に有用となるような、精神史方法論構築のための基礎を固めた。こうした作業のうち、とりわけ精神史と神学との関係について研究者のアイデンティティ問題という観点から論文をまとめて、「精神史と宗教学」を東洋大学文学部紀要に発表した。また、北欧人の宗教意識と福祉との関係について、中里 巧他共著『テーマ30生命倫理』で触れた。さらに、精神史の方法論について日本宗教学会において、フィールドワークと精神史の関連について日本臨床死生学会・日本医学哲学=倫理学会合同大会で、口頭発表した。
|
-
[Publications] 中里 巧: "精神史と宗教学-S.ホルム批判とアイデンティティ問題" 白山哲学 東洋大学文学部紀要第52集. 33. 125-164 (1999)
-
[Publications] 中里 巧他共著: "「テーマ30生命倫理」のうち「ノーマライゼーション」・「キュアとケア」" 教育出版, 144のうち,34-37,66-68 (1999)