1999 Fiscal Year Annual Research Report
北欧精神史-ヨーロッパにおける大地母神信仰の歴史的変容と現在-
Project/Area Number |
10871002
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中里 巧 東洋大学, 文学部, 助教授 (40277348)
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Keywords | 精神史 / 宗教学 / 北欧 / 神話 / フィールドワーク / 福祉 / 神学 / 社会学 |
Research Abstract |
「基礎的文献資料の収集と継続と大地母神信仰の分析」 (1)前年度の文献資料収集の継続、とりわけ沼地信仰・民俗伝承・アウトロー・スターヴ教会・サーメ人共同体について収集した。文献資料は、18世紀末から20世紀に及び、ラテン語・デンマーク語・ノルウェー語・スウェーデン語によって書かれている。また、非文字資料に該当する写真・図版・地図なども含まれている。図書購入としては、レキシコン(ノルウェー語)・サガ関連(アイスランド語)であり、その他は、コピーによる収集である。 (2)ヨーロッパにおける前インド=ヨーロッパ的神話素である大地母神信仰にみられる宗教意識の古層を、『エッダ』・『サガ』・『ゲルマニア』・『ブレーメンのアダム文書』・『北方民族文化誌』から分析した。神話素のチャート化作業をおこなった。チャート化作業とは、文字資料と無文字資料を併行してカード化し、さらに両資料を文書化して一つにまとめたうえで、三次元図表に変換して、個々の神話素の有機的連関を明確化する作業のことである。チャート化するうえで、精神史的パースペクティヴを構成するために、民俗・神話・民間伝承・経済・交通・建築・装飾・法律・道徳規範などに意識層を重層化した。また、有意味性体系の有機性を考慮して、意味素を生理的-身体的・心理的-社会的・精神的-宗教的というように三区分して、哲学的人間学的手法を用いた。こうした成果の一端を、日本宗教学会やシェリング協会で口頭発表した。また、スティフェンス自然哲学・フィールドワーク論というテーマで、論文や著作のかたちで発表した。
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