1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10871004
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
安藤 充 愛知学院大学, 文学部, 助教授 (90183152)
|
Keywords | マヌ法典 / クターラ・マーナワ / 古ジャワ語 / ヒンドゥー教 |
Research Abstract |
本研究はヒンドゥー法典類がジャワ・バリにおいていかなる形で受容されていったかを、文献から実証的に解明するため、テキスト校訂およびインド原典との比較対照を主眼とする。3年計画の初年度は、未校訂であるテキストを写本から校訂しながら、関連研究文献による研究上の問題点の検討をおこなうことに重点がおかれた。 具体的には、まずオランダ・ライデン大学所蔵の『クターラ・マーナワ』という古ジャワ版マヌ法典と目される数種の写本(一部分のみ残存のものを含む)の複写を取り寄せ、そのローマ字転写を行い、さらに、今後のテキストコンコーダンス構築、インド原典との比較対照のために、コンピュータにテキスト入力した。海外からの写本資料取り寄せに予想外の時間がかかったため、本年度中に入力完了したのは1種類のテキストであった。 また、写本資料の収集と解読作業に並行して、関連する研究文献資料を収集整理し、研究上の問題点を検討した。このため、関連図書の購入、出張による文献閲覧、図書館経由の複写サービスによる資料収集をおこなった。収集した資料についてはコンピュータ上でデータベース化して整理した。 今後、着実にテキスト校訂、翻訳をすすめ、インドのマヌ法典原典と対照することにより、所期の目的に沿った何らかの成果が導かれるはずである。現段階においても、本テキストのタイトルの問題、写本の言語の問題、さらにインド原典に近いテキストの存在の可能性など、すでに多くの問題の所在が明らかにされており、今後の精密な文献解読により、いくつかの問題解決の糸口が見つかると思われる。
|