1998 Fiscal Year Annual Research Report
宗教集団調査法の研究 -社会問題化する教団を中心として-
Project/Area Number |
10871005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 義秀 北海道大学, 文学部, 助教授 (50196135)
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Keywords | 宗教集団 / 調査法 / 天地正教 / 統一教会 / カルト / 反カルト運動 |
Research Abstract |
本年度は、教団研究を文献的にレビューすると同時に、反社会的行為を行う宗教集団対策組織の資料収集、会合への出席などを行った。統一教会に対しては全国霊感商法対策弁護士連合会、オウム真理教では日本脱カルト研究会、エホバの証人では、エホバの証人問題研究所の各団体に資料照会依頼、調査協力を求め、来年度の地固めを行った。また、1999年3月8、9日に「宗教集団研究法」の研究会を開催し、研究代表者の櫻井義秀、協力者で北海道大学大学院生の猪瀬優理、成城大学民俗学研究所の川又俊則、久留米大学比較文化研究所の黒田宣代の4人を発表者として研究会を開催し、情報交換、研究課題の啓蒙・普及に努めた。 そこで確認されたことは、従来の宗教集団研究は調査許可を得易い、社会常識をわきまえた無難な教団が対象であった。そのために、宗教集団は教団そのもの、信者を直接対象とした調査法がとられていた。しかし、現在社会問題化している宗教集団には、教団の外側から(被害者、その家族、元信者、反カルト運動組織)情報収集につとめ、リサーチの公表にはカルト、反カルト両陣営から直接のリアクションがもたらされるような状況に至っている。また、教団と教団をとりまく環境の境界、信者と潜在的信者の境界を分析の対象にすえなくては、なぜ、一般社会からこのような宗教集団が生まれ、信者獲得に成功したのかは分からない。その意味で、宗教集団の周辺を考察の対象とし、従来の研究法で採用されていなかった周辺的調査法を積極的に活用すべき時代に入ってきたことが改めて確認されたのである。
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Research Products
(1 results)