1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10871011
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水野 みか子 名古屋市立大学, 芸術工学部, 講師 (50295622)
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Keywords | 音楽の空間性 / 音楽情報 / 音楽作品のピッチ分析 / 音環境デザイン / ミュジック・コンクレート / 建築物としての音楽要素 / コンピュータ・ミュージック |
Research Abstract |
音楽作品を分析/記述するためのパラメータとして、これまでに欧米で盛んに行われてきたピッチの分類や解析を越えた別次元を設定するために、今年度は「空間性」に着目し、音楽作品のなかでも、とりわけ「空間性」を指摘/分析しやすい例を具体的にとりあげて研究した。本年度の主な成果は、ピッチ研究である〈twelve-tone〉とpcsの問題点の考察、大阪万博に展示された鉄鋼館音楽堂の建築設計と音響デザインに関する資料収集とヒヤリングの実施、音環境デザインの基礎概念としてのミュジック・コンクレートに関しての海外での一次資料調査と海外デザイナーへのヒヤリングの実施、である。 第一の、ピッチ研究の問題点考察においては、ピッチのみを他パラメータから独立させた作曲/分析の実際を調べ、音楽認知からの反省を促した。第二の、鉄鋼館研究では、当時実際に音響設計に携わった方に詳細なヒヤリングを行い、設計図とともに音楽スコアを調査して、音楽作品の内在要素として実現された「空間性」を指摘した。前年度より継続している、ギリシャの建築家/作曲家ヤニス・クセナキスに関する活動調査と美学的考察も同じ方向にある。第三の音環境デザインに関しては、フランスとオーストリアで実地調査を行い、また、現在両国のデザイナーや作曲家へのヒヤリング調査を実施中である。 次年度には、音環境デザインの諸例調査続行と音楽情報処理の技術展開研究を行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 水野みか子: "George Peale;Twelve-Tone Torality" 日本音楽学会「音楽学」. 44-1. 64-66 (1998)
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[Publications] 水野みか子: "ミュジック・コンクレートの50年とオーディオ・ヴィジュエル研究" 音楽芸術. 56-7. 54-59 (1998)
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[Publications] 水野みか子: "芸術工学における音響、音楽情報教育" 芸術工学会誌. 17. 26 (1998)
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[Publications] 水野みか子: "音楽作品における〈空間性〉パラメータの設計" 芸術工学会誌. 19. 13 (1998)
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[Publications] 水野みか子: "音楽における空間性…大阪万博鉄鋼館における武満徹の試み" 名古屋芸術大学紀要. 20. 113-128 (1999)
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[Publications] 水野みか子: "PCSは音楽について何を語ってきたか?" 日本アルバン・ベルク協会年報. 8. 149-155 (1999)
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[Publications] 水野みか子(佐野光司)他: "日本の作曲20世紀" 音楽之友社, 320 (1999)
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[Publications] 水野みか子 他: "演奏年鑑'99" 日本演奏連盟, 452 (1999)