1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10871016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30089099)
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Keywords | 仮想現実 / 眼球運動 / 運動知覚 / 運動視 / 頭部運動 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで余り議論されてこなかった<知覚する側の動き=眼球運動>が<視認された対象物の動きの知覚=運動知覚>の修飾に大きな役割を果たしている事を実験的に検討することを目的としている。感覚機能が十分に機能し得る条件が失われた時、例えば感覚器としての機能の閾値を越える刺激入力があった時、あるいは他のモダリティーからの外乱入力があった時に感覚の錯誤あるいは、異常が生ずることも事実である。これまでの視覚行動学的研究の歴史の中では、特に実験デバイスの制約によって、1)頭部を非動化して視覚刺激を呈示することが多く、2)実験パラメータによって自由に制御できる運動視覚刺激の作成が困難であるという理由により現在も研究が継続されている。本研究は、そのよな制限条件を解除することで、より実体に近い実験データを産出しようとするものである。本研究課題では、以上のような研究結果を踏まえた上で、(1)頭部の非動化を解除し、自由に頭部を運動させ、その時に頭部運動を補償するような眼球運動が生じた時に、その眼球運動が(動く視対象)の運動をどのように修飾するかという点について、精密な頭部運動、ならびに眼球運動の計測を行い、被験者の運動印象の知覚との関連性を検証することを研究計画とした。本年は,1)既存のグラフィックデイスプレーによって様々な運動方向と速度をもつ運動刺激をプログラムし、2)グラフィックデイスプレーからの映像出力を、頭部搭載型の刺激提示装置に導出し、被験者の頭部が運動しても、運動刺激自体は被験者の挙動に同期するような事態を設定した。検討の結果、能動的、受動的に係わらず頭部運動によって引き起こされた反射的VORが動的視覚刺激の運動方向と動機した時と非同期の時には運動感覚に明確な違いがあることがわかった。このことは頭部搭載型のデバイスを用いる仮想現実研究のデバイスにおいて、CPUが高速で円滑な運動映像を呈示すればするほど被験者の頭部・身体運動が起きた時の運動錯誤は大きくなり、結果的に乗り物酔いに類似した症状をより多く起こさせることが予想されるということがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 古賀一男: "「視覚行動のサブシステム」から「行動のサブシステムとしての視覚」本田仁視の「Optic flow」について"Vision. 12・1. 31-33 (2000)
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[Publications] 古賀一男: "自著を語る「眼球運動ミニ・ハンドブック」"心理学ワールド. 7. 31-31 (1999)
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[Publications] Devanand Sarlkar,Takashi Nagaya,Kazuo Koga,and Hisano Seo: "Culture in vector-averaged gravity environments in a clinostat results in detachments of osteoblastic ROS 17/2.8 cells"Journal of Born and Mineral Research. (in press).
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[Publications] Kazuo Koga: "Gravity cue gives implicit effects to the human behavior under the altered gravity environments"Aviation,Space and Environmental Medicine. (in press).
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[Publications] Kazuo Koga: "Motion perception modified by eye movements"Swiss Journal of Psychology. (in press).
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[Publications] 古賀一男: "43人が語る心理学と社会-21世紀の扉をひらく"ブレーン出版/東京. 217 (1999)
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[Publications] 古賀一男: "視覚情報処理ハンドブック"朝倉書店/東京 (印刷中).