1999 Fiscal Year Annual Research Report
非接触型視線モニタ装置による因果知覚時の自閉症児眼球運動特性の研究
Project/Area Number |
10871018
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
久保田 新 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 助教授 (00278277)
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Keywords | 自閉症 / 因果知覚 / 眼球運動 / 凝視点 / 動体追尾 / 非接触型眼球運動モニタ装置 / サッカード / 部分と全体 |
Research Abstract |
非接触型眼球運動モニター装置の性能を検討し、同装置と刺激提示用コンピュータとの連携技術開発を初年度に完了した。今年度は半年間に2度の研究室改築が実施され非講義期間が十分に利用できず進展が遅れているが、健常成人と児童における眼球運動モニター実験から問題点を整理し最終的実験要因を絞りこんだ。 健常成人と児童において、因果知覚事態で凝視点移動の特性を検討したが、「最初は動体Aを追っているがA・Bが衝突する際、追尾に独特の揺れ(A・B間のサッカード?)が見られ、次いでBの追尾に移る」という初期の結果は、まだ例数が少ないもののある程度一般的であった。その詳細は成人と児童でやや異なっており、少数の自閉症例を含む児童では、A・Bが衝突してBが動き始めた後も凝視点がAに留まるか減速・変向するものがあった。この揺れとBの検出との時間関係、またその因果知覚との関係はまだ明瞭ではない。 児童において移動刺激Aを注視させるためにAをアニメーションとした場合、Aに対する関心の強さのためか凝視点が刺激Bに移動しにくくなる傾向が認められた。実験手法上この注視要求は必要であるが、条件をそろえるためにBもアニメーションにすると知覚レベル以上の要因が入りこんでしまう恐れがある。そこで因果知覚の有無に関する反応を実験から一旦はずし追視のみさせ、刺激A、Bいずれも任意の時点で色が変ったときに反応を求め(ビジランス課題を含んだ因果知覚事態)、行動的な注意点の移動と凝視点移動との関係を見たところ、刺激位置毎のビジランス得点と凝視点の間に関連性が示唆された。また、それらは刺激A、Bの衝突前後の速度(極端な条件ではAが停止する)やBの刺激変化時点(衝突前か後か)により影響される傾向にあった。 これらを踏まえて、眼球運動モニターとは別にビジランス課題を含んだ因果知覚実験を実施しつつ、因果知覚の有無に関する反応とビジランス課題を両立させた事態での眼球運動モニター実験を模索している。
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Research Products
(1 results)