1998 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連脳電位(ERP)を用いた、顔認識過程の検討
Project/Area Number |
10871019
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
小西 賢三 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60068583)
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Keywords | 顔認知 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
顔認識処理過程を、事象関連脳電位(ERP)を指標として検討した。 方法: 高親近性刺激として、日本人男女各10名計20枚の顔写真を,低親近性刺激として,非日本人(白人)男女各10名計20枚の顔写真を用い、平均1200ms間隔で次々と、300ms間提示した。被験者には、一次元選択課題では,人種にかかわらず,男・女の性別のみの弁別・反応を,二次元選択課題では男・女および人種の組み合せの弁別・ボタン押し反応を要請した。 結果: ERP波形は、一次元課題においては、標的・非標的刺激のERPとも、陰性N190、陽性P240さらに陰性N320の各成分を形成した。二次元選択課題のERP波形においては、男女弁別課題と同様、N190、P240、N320が出現し、その後刺激の違いにより異なった振舞いを示した。標的と性別が一致しない、つまり、性別のみ不一致および性別・所属とも不一致刺激のERPは、男女弁別課題と同様、N320の頂点後400ms近傍で若干の膨らみを持ちながら陽性方向へ大きく変動した。これに対して、所属のみ標的と不一致の刺激、および標的刺激に対するERPは、N320後再び陰性電位が発達し、410msあたりに陰性頂点N410を形成した後、陽性方向へと移行した。 考察: 課題に関わらず、すべての刺激に対して出現したN190、P240およびN320は両課題に共通した男女弁別に至る一連の処理に関わる電位と推定できる。また、二次元選択課題において、性別が標的と一致したものおよび標的刺激に対して大きなN410が発達し、この成分が所属弁別に関連することを示している。顔認識モデルと対応させれば、P240以降からN410の発達時間帯にかけて、「顔認識ユニット内の表象との照合」から「個人の意味情報」の検索が行なわれ,N410が所属弁別判断に関わったことになる。
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Research Products
(1 results)