1998 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における「女中」像の変遷に関する歴史社会学的研究
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10871039
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Research Institution | Kansai Jogakuin Junior College |
Principal Investigator |
清水 美知子 関西国際大学短期大学部, コミュニケーション学科, 講師 (30290422)
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Keywords | 女中 / 家事使用人 / 主婦 / 家庭 / 都市化・産業化 / 生活文化 / 近代日本 / 歴史社会学 |
Research Abstract |
初年度である本年度は、基礎的な研究として、おもに国内の「女中」に関する文献の収集・整理をおこなった。扱った文献は、家政書を中心とする単行本、新聞、雑誌、調査統計などに及ぶが、とくに雑誌については、明治・大正・昭和戦前期をカバーする女性向けの数誌をテキストとして選び、「女中」およびそれに類する言葉の移り変わりや、「女中」という言葉が使われる文脈の変化を、都市化・産業化などとの関連でくわしく検討した。 こうした作業を通して、(1)1910年前後に「下婢」「下女」から「女中」への言葉のシフトがある。(2)1960年代に一般化した「お手伝いさん」という言葉が、すでに1920年代より一部の女性雑誌で使われていた。(3)1910年代後半から20年代にかけて「女中」が社会問題化した、などの知見が見いだされた。これらの成果は、研究代表者の単著として、「『婦女新聞』にみる女中問題の変遷」(『関西国際大学短期大学部研究紀要』第13号、1999年3月)、「戦前期の『婦人之友』誌にみる女中像の展開--〈お手伝〉の登場をめぐって」(日本生活学会『生活学論叢』第4号、1999年8月発行予定)、「〈女中〉イメージの変遷」(『近代日本文化論』第8巻、岩波書店、1999年刊行予定)にまとめている。 また本年度は、来年度・再来年度におこなう面接調査の予備的な段階として、戦前期に住み込み女中として働いた経験のある女性にインタビューをおこなった。現在、インタビューの結果を参考にして、チェックリスト作成の作業をすすめているところである。もっとも、女中の生活実態を明らかにするには、被用者のみならず雇用者側の視点も欠かせない。そこで来年度は、女中を雇っていた家庭の女性にも、面接調査をおこなう予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 清水 美知子: "『婦女新聞』にみる女中問題の変遷" 関西国際大学短期大学部研究紀要. 第13号. (1999)
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[Publications] 清水 美知子: "戦前期の『婦人之友』誌にみる女中像の展開-〈お手伝〉の登場をめぐって" 生活学論叢. 第4号. (1999)
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[Publications] 青木・川本・筒井・御厨・山折(共編): "近代日本文化論VIII 女の文化" 岩波書店, (1999)