1999 Fiscal Year Annual Research Report
教室授業における「からかい」と「当惑感情」に関する研究-教師と実習生の比較分析-
Project/Area Number |
10871044
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
高旗 浩志 島根大学, 教育学部, 講師 (20284135)
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Keywords | 感情社会学 / 教育社会学 / 教室秩序の社会的構成 / 当惑 / 解釈的アプローチ / エスノメソドロジー / 学校文化 |
Research Abstract |
本年度は研究計画の2年目に当たり、当初の予定通り、教育授業場面への参与観察によるデータを継続して収集すると同時に、そのデータ入力(データベース化)を行った。また、感情社会学をめぐる先行研究の整理を、理論研究及び実証研究の両面にわたって行った。 まず、データ収集では、教育実習期間中の中学校において教育授業場面の参与観察を行い(50時間)、「からかい→当惑→当惑感情の処理」のプロセスに関わる言動を収集した。これらをデータベース化するに当たっては、一連の会話プロセスを忠実に文字に書き起こし、同時にカテゴリカル・データの形にして後の分析に耐え得る仕様に変換した。現在、分析の途中であるが、「当惑感情の処理」に係るプロセスにはいくつかのパターンが認められ、そのうち、自らの当惑が「秩序再生の契機となる場合」と「秩序解体に繋がる場合」に大別出来ることがわかった。すなわち、自らの当惑を「笑い」に転換できるコミュニケーションスキルを持ち得る場合には、事後の秩序維持が強化され、逆に自らの当惑に対して真摯に向き合おうとすればするほど、オーディエンスである生徒との社会的距離が拡大し、却って秩序の解体に繋がるものと言い得る事が出来る。 なお、このようなコミュニケーション・スキルの有無の要因について、社会学、とりわけ感情社会学的立場からの分析を行うことが、本研究の課題であり、次年度に向けた課題と考えている。 また教師と実習生、及び生徒へのインタビュー調査も、前年度に引き続き行った。教師に対するインタビュー調査(約25時間)では、昨年度、収集したデータの分析も踏まえ、特に教育実習生に対する指導教官の規範的対応のパターンを抽出した。
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