1998 Fiscal Year Annual Research Report
近現代ドイツ語圏の舞台作品における「笑い」の契機と「検閲」に関する文化史的考察
Project/Area Number |
10871066
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小島 康男 立教大学, 文学部, 教授 (20062630)
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Keywords | 近現代ドイツ喜劇 / 笑い / 検閲 / 舞台と観劇 / 変身 / 愚者 / 翻訳 / ヴェーデキント |
Research Abstract |
平成11年度は、申請時の計画に基づいて、近現代ドイツ語圏の演劇(とくに、喜劇)やそれらに対する社会的圧力の象徴である検閲に関連する書籍を蒐集するとともに、ミュンヘン大学図書館やバイエルン国立図書翰、ならびにオーストリアのインスブルック新聞文庫などから取り寄せた資料を整理して、本研究の対象となる作品等に関する新たな書誌的調査に努め、データーベースによる補完作業を行なった。それには、手に入れた新製品のパソコンが役立っている。上記の資料をデーターベース化した上で統計処理することによって、上記の喜劇研究の素地を固めたからである。また、研究の中軸になるフランク・ヴェーデキントにまつわる資料(印刷出版された作品はもちろんのこと、原稿のままの著作の複写も射程内に入り、他に翻訳、手紙、日記、二次文献、ビデオ録画、楽譜なども含まれ、また作品のジャンルも、叙情詩、小説、戯曲、エッセイ、大道歌、シャンソンなど多岐に渡る)にも心を配り,なかでもヴェーデキントが深くかかわった風刺雑誌『ジンプリチシムス』(1896-1918,立教大学所蔵図書)の内容を、アルバイト要員としての大学院生の助力のもとに、取捨選択かつ整理し、かつバイエルン国立図書館から取り寄せたヴェーデキント作品等への検問史を扱う図書のの検討に尽力した。さらに、地域性を重視した比較研究という視点からは、スイス人喜劇作家デュレンマットの研究書購入とその検討をはじめ、「ウィーン民衆劇研究会」でのネストロイ研究も効力を発揮しつつある。それから、日本における日独喜劇対比研究という観点からは、京都大学での、なかんずく成瀬無極の喜劇に関する資料調査の意味は大きい。だが、本格的に成果をまとめるのは、来年度以降に持ち越される。
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