1999 Fiscal Year Annual Research Report
近現代ドイツ語圏の舞台作品における「笑い」の契機と「検閲」に関する文化史的考察
Project/Area Number |
10871066
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小島 康男 立教大学, 文学部, 教授 (20062630)
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Keywords | 近現代ドイツ喜劇 / 笑い / 検閲 / 舞台と観劇 / 変身 / 愚者 / 翻訳 / ヴェーデキント |
Research Abstract |
本年度は、基本的には昨年度の調査計画(資料蒐集とパソコンへの入力)を続け、ヴェーデキント作品の解読を進めると同時に、ネストロイ、シュテルンハイムの研究も絡んでくるため、それらに関する研究書類の不足分を購入し、対比研究をするのが中心課題であったが、ヴェーデキストについては、諷刺雑誌『ジンプリチシムス』に掲載され、皇帝中傷の罪状で検閲によって窮地に追い込まれた事実背景を盛り込んだ喜劇『オアハー諷刺の諷刺』{1908・1911・1916}と文字通り『検閲』{1908}という題名を付した戯曲の分析を手がけた(来年度に発売予定)。またネストロイについては、本年度は、やはり同時代のウィーン民衆喜劇作家であるライムント研究に矛先を変え、その喜劇『アルプス王』の翻訳に徹した(2000年秋刊行予定)。さらに6月3日から5日にかけて静岡で開催されたシアター・オリンピックス(演劇界のオリンピック)に出向き、特に旧東独の劇作家ハイナー・ミュラーの『ヘラクレス』上演に触れ、当局が仕掛けた検閲を潜り抜けながら書き上げた喜劇における屈折した笑いの演出を肌で感じ取った。また7月23日から8月8日までドイツ、オーストリア、スイスに出掛け資料収集を手がけた。具体的にはバイエルン国立図書館(ミュンヘン)やミュンヘン市立図書館、ならびにオーストリアのインスブルック新聞文庫、スイスの国立文庫(チューリヒ)などに立ち寄ったが、特にミュンヘン市立図書館でのヴェーデキントの未発表原稿解読作業の成果に触れた意味は大きい。
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Research Products
(2 results)