1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10871071
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
箕浦 信勝 東京外国語大学, 外国語学部, 助手 (90262211)
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Keywords | 日本手話 / 手話 / 品詞 / 頭部標示 / 反転 / ボイス / 孤立語 / 結合価 |
Research Abstract |
萌芽的研究の3年間の第1年度である平成10年度は、日本手話の言語学的記述研究の予備的諸活動を行った。日本手話の記述研究は、(音声)日本語、またアメリカ手話などの他の手話言語の記述に影響を受けた先行研究が多く、日本手話(音声)日本語からも、他の手話言語からも独立した固有の言語であるとの認識に立った研究は未だ少ない。 研究代表者は、当初から一般言語学的な立脚点に立ち、日本手話の調査・研究を行った。春には、国立身体障害者リハビリテーション・センター(=国リハ)学院手話通訳専門職員養成課程の専任講師であり、NHK手話ニュースのキャスターを務め、遺伝的ろう者の家系に生まれ、3代目のネイティブ・サイナー(手話の母語話者)である木村晴美さんにお願いして、数回言語学的調査をした。 また、他の手話言語に関する研究書その他の書籍を、主にインターネットを通じて収集に努めた。 8月1日、2日は、埼玉県所沢市の国リハで開催された日本手話学会第24回大会において「日本手話品詞論試論」、「日本手話実詞の順向・反転について」の2つの研究発表を行った。 11月12日から15日までは、アメリカ合衆国ワシントンDCのギャロデット大学で開催された「手話言語研究における理論的諸問題」研究会第6回大会に出席し、世界各国の手話言語研究者の研究発表を聴き、また交流した。 研究代表者は現在、日本手話の各個言語としての品詞論、形態論、統語路、また特に北米先住民諸言語との対照に基づいた類型論、すなわち頭部・従部標示、述語の順向・反転、名詞と動詞の不峻別、ボイス、独立語との類似、述語の結合価などの諸問題に関心を持って調査・研究を進めている。 また研究とは言えないが、日本手話の他に、アメリカ手話、また自然発生的なピジン言語である国際手話を語学的に学習している。
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