1998 Fiscal Year Annual Research Report
外国法適用の観点からみた渉外事件の処理プロセス-日伊比較研究-
Project/Area Number |
10872001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥田 安弘 北海道大学, 法学部, 教授 (20135776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 眞一郎 東北大学, 法学部, 教授 (40114615)
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Keywords | イタリア国際私法 / 外国法の適用 / 公序 / 発展途上国法 / 先進国法 / 強行規定 / 裁判所の職権 / 証明責任 |
Research Abstract |
本研究は、日本とイタリアの裁判所における外国法の適用例を収集することから始めるが、初年度は、代表者(奥田)が公序の発動例を収集し、分担者(早川)が外国法の職権適用などが問題とされた例を収集した。対象としたのは、最近10年間の判例である。 全体的にみると、日本の渉外判例は最近増えてきたとはいえ、本研究のテーマに直接関わるものが少ないのに対して、イタリアの判例は、そもそも外国法の適用が問題となるものがかなりの数にのぼり、本研究のテーマに関係するものを相当数収集することができた。そこで、われわれの分析は、主にイタリアの判例に集中して行われた。 まず公序違反については、分野別では、家族法だけでなく、財産法(とくに労働契約)においても多数の該当例が見られ、また対象となった外国法も、いわゆる発展途上国法だけでなく先進国法もかなり含まれていた。とくに財産法の分野では、外国法の適用排除という意味での消極的公序ではなく、むしろイタリア法の強行規定の適用を確保するという意味での積極的公序の発動例が多かった。一方、家族法の分野において、消極的公序が問題となる場合も、外国法の適用を排除した後は、ストレートにイタリア法を適用する傾向が見受けられた。 一方、外国法の職権適用については、むしろ訴訟当事者の証明責任が問題となった例が多数見られ、外国法の内容の調査・証明のあり方なども議論となっていた。
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