1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本経済における産業動態と雇用システムの進化-制度分析とマクロ動学分析の総合
Project/Area Number |
10873002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植村 博恭 名古屋大学, 経済学部, 助教授 (70184976)
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Keywords | 産業動態 / 雇用システム / 制度分析 / 雇用調整 / 賃金調整 / 労働保蔵 / 産業構造 / 企業間関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は、制度分析とマクロ動態分析とを産業動態を媒介として架橋し総合することによって、現代日本経済の産業構造の動態と雇用システムの進化を分析することである。そのために、雇用システムと企業システムの制度分析に関するこれまでの研究成果をふまえ、雇用システムの制度的効果とマクロ経済動態との相互作用に関する研究を、雇用や賃金の動態的調整メカニズムに関する部門別特性を考慮しつつ発展させ、特に、平成11年は、以下のような実績を残すことができた。 1.主要な労働統計および産業統計を加工して、計量分析のための基本的データ、特に非集計データを整備した。それにもとづいて、1970年代以降の、部門別の生産性上昇率、成長率、収益率、雇用の変動などの動態を分析した。 2.産業動態と雇用・賃金の調整とを総合したモデルを用いて計量分析を行い、産業別・企業規模別の雇用調整および賃金調整の特徴と産業の成長や生産性上昇との関連を検討した。これにより、特に、成長率の高い産業と低い産業とのあいだで調整の相違が析出された。現在、雇用と賃金の調整メカニズムに関する構造変化の有無を検討中である。 これまでの分析をさらに発展させ、1990年代における日本的雇用システムの適応と変容の特徴を析出し、あわせて賃金格差や失業率の変化がもたらす社会的影響を検討することが、次年度の課題とされる。
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[Publications] Uemura,H.(共著): "The Economics of Institutions in Japan:A Critique to the Comparative Institutional Analysis"La lettre de la regulation. No.24. 1-3 (1998)
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[Publications] 植村博恭(共著): "戦後日本経済の制度分析-「階層的市場-企業ネクサス」論の観点から-"山田・ボワイエ編『戦後日本資本主義-調整と危機の分析』. 藤原書店. 49-151 (1999)
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[Publications] Uemura,H.(共著): "The Hierarchical Market-Firm Nexus and Institutional Analysis of the Recent Japanese Economy"Schober,F.et al(eds.)Restructuring the Economy of the 21th Century in Japan and Germany,Dunkev on Humblet. 77-120 (1999)
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[Publications] Uemura,H.: "Growth,Distribution and Structural Change in the Japanese Economy:Based on the Institutional Analysis"Economic Research Center Discussion Paper. (2000)
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[Publications] Uemura,H.(共著): "Hierarchical Market-Firm Nexus as the Japanese Mode of regulation"Boyer,R.and Yamada,T.(eds.)Japanese Capitalism in Crisis,Routledge. (2000)
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[Publications] Uemura,H.: "Growth,Distribution and Structural Change in the Post-war Japanese Economy"Boyer,R.and Yamada,T.(eds.)Japanese Capitalism in Crisis,Routledge. (2000)
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[Publications] 植村博恭(共著): "社会経済システムの制度分析-マルクスとケインズを超えて-"名古屋大学出版会. 383 (1998)